旅館・ホテル業界における人手不足は深刻な状況にあるが、求人広告を出せば一定数の応募がある施設は少なくない。しかし、いくら採用を行っても、それ以上に退職者が出ていることが大きな問題となっている。宿泊業の離職率は他業種と比べて高く、スタッフが数年以内に退職してしまうことが人手不足に拍車をかけている。
退職理由として給与や待遇の問題がよく指摘されるが、それ以上に問題なのが、スタッフ本人の適性と担当業務との不一致や、上司や同僚との人間関係のトラブルである。スタッフの適性に合った業務を提供し、職場のコミュニケーションを改善することで、スタッフが長く働きたいと思う職場環境を作ることが求められている。そのために有効なツールとして注目されているのが、MBTI(マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)である。
MBTIは、スイスの心理学者ユングの理論に基づいて開発された性格診断ツールである。個人を16の性格タイプに分類することで、自分や他人の理解を深めることができる。このツールは、外向(E)―内向(I)、感覚(S)―直感(N)、思考(T)―感情(F)、判断(J)―知覚(P)の四つの指標に基づいて、個人の性格タイプを判定する。MBTIを活用することで、各スタッフの特性やコミュニケーションスタイルを理解しやすくなる。
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