今年の税制改正は、いわゆる「年収103万円の壁」への対応など、個人所得課税に関わる論点ばかりがニュースで取り上げられている。しかし、旅館・ホテルの経営者や財務担当役員、経理部長が知っておくべき税制改正も数多く存在する。本コラムでは、その中でも旅館・ホテル業にメリットがある、または影響が大きいと考えられる改正点を紹介したい。
「事業承継税制における役員就任要件・事業従事要件の緩和(贈与税)」=事業承継税制とは、中小企業の後継者が株式を贈与・相続した際、一定の要件を満たすことで贈与税・相続税の納税が猶予または免除される制度である。旅館・ホテルがオーナー経営者(親)から後継者(子)へ承継される場合も、利用可能だ。
しかし、この制度が適用されるためには厳密な要件が定められており、その中でも特に注意が必要なのが「役員就任要件」と「事業従事要件」である。これまでは、「贈与の日まで3年以上継続して役員等であること」(役員就任要件、法人の特例措置)、「贈与の日まで3年以上継続して事業等に従事していたこと」(事業従事要件、個人事業主)という要件を満たす必要があった。
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