【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 742】次世代経営者のための課題発見法(3) 青木康弘


 前回に引き続き、次世代経営者が自社の課題を発見・分析し、効果的な対策につなげるためのポイントを紹介したい。数字や現場の声をもとに新しい価値を生み出し、持続的な成長をめざす際のヒントとして活用してほしい。

 4.売れない商品・サービスを徹底的に直す

 旅館・ホテルが提供するサービスは、宿泊や食事、物販、アクティビティなど多岐にわたる。一方で、施設規模の大きさや人手不足から、商品やサービスが10年前と変わらないままというケースは珍しくない。しかし、今後は客単価の向上と差別化がますます重要になるため、「売れない理由」を徹底的に洗い出し、地道に改善する姿勢が欠かせない。

 原因としては「写真が魅力的ではない」「値段が分かりにくい」「味やボリュームのインパクトが薄い」「近隣施設でも同じような商品が提供されている」など、多岐にわたる。販売データや時間帯別の売り上げ傾向、商品別の売り上げランキングなどを参照しつつ、「どの商品をどのように強化すれば客単価が上がるのか」を見極めることが重要だ。場当たり的な対策にとどまらず、検証と改善を体系的に繰り返していけば、大きな成果につながるだろう。

 5.ほかの業界のやり方を参考にする

 旅館・ホテル業界には長い歴史と伝統があり、先代から受け継いできたやり方をあまり疑わない傾向がある。しかし、その分だけ業界外のノウハウを積極的に取り入れるのが遅れ、変化への対応が後手に回りやすいという課題もある。

 そこで有効なのが、異業種の成功事例や基本的な運営手法を学ぶことだ。たとえば、製造業の「5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)」の考え方を取り入れれば、棚卸しや作業動線の効率化に大きな効果が期待できる。飲食業界は競合が多く、メニュー開発や内装リニューアルなどで顧客ニーズを素早くつかむ点が特徴だ。

 「コース料理の内容が代わり映えしない」「施設内のレストランを改装しても近隣の施設と差別化できない」といった悩みを抱えている場合も、ほかの業界の発想を取り入れることで、ユニークなアイデアが生まれる可能性は十分にある。

 (アルファコンサルティング代表取締役)


(2025年2月17日号連載コラム)

 
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