前回に引き続き、人材や資金に限りのある中小旅館・ホテルでも取り組める、集客イベント企画の進め方を紹介しよう。地域のイベント・催事だけに頼るのではなく、自力で集客イベントを企画できるようになって閑散期でも売り上げを安定的に確保できる館を目指そう。
前回コラムでは「具体的な企画内容を幅出しする」ための七つの切り口を紹介した。すなわち、(1)イベントと連動した料理(2)ラウンジコンサート(3)ライトアップ(4)館内写真展(5)散策ポイントの紹介(6)イベント地への無料送迎(7)星空鑑賞―の7項目である。この切り口を、旅館が特に苦戦しやすいクリスマスシーズンに当てはめるとどうなるか検討してみよう。
(1)イベントと連動した料理
クリスマスというと消費者は西洋料理をイメージするので和食しか提供していない旅館は集客に大変苦労する。クリスマス特別ディナーコースを出せれば理想であるが、和食調理人しかいないのであれば部分的にクリスマスらしさを出そう。
定番として取り組むべきなのが、クリスマス特別デザート(ホールケーキでなくても良い)、シャンパンもしくはスパークリングワイン、牛ステーキもしくはローストビーフの追加である。これだけでも季節イベントらしさが出てくる。
宿泊プラン化するならば、レイトチェックアウト、特別アメニティ、お花のプレゼント、客室のランクアップ、お子さま向けお菓子プレゼントなどを盛り込むと良い。
(2)ラウンジコンサート
12月中旬くらいからクリスマスソングを中心にミニコンサートを企画すると良い。プロの演奏家にこだわらず、アマチュアや地元大学のクラブに依頼した方が、イベント開催日を多く設定できるので良いだろう。
(3)ライトアップ
レストラン会場はクリスマスの装飾を行い、テーブルにキャンドル(LEDでも良い)を置いて雰囲気づくりをしよう。屋外のライトアップは投資効果を高める観点から、クリスマス時期だけでなく、11~2月の長期間で実施すると良いだろう。
(4)~(7)周辺地域でクリスマスイベントやライトアップをしているのであれば、旅館名にハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらい、抽選で宿泊券やギフト券をプレゼントする企画をすると良いだろう。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)