前回に引き続き、旅館・ホテルの現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明しよう。前例と勘に頼って安易に解決を図ろうせず、業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力を現場スタッフに身につけさせよう。
2、順序で考える
問題点を発見したり、対策を考えたりするのに、物事の順番で考えると頭を整理しやすい。例えば、口コミ評価を向上させる施策について、スタッフ中心の会議で議論してもらうことを想定してみよう。各自が思いついたことを順不同に言い合うと議題が拡散しがちで論点の漏れが発生しやすいが、時系列に整理すると建設的な議論を行うことができる。
お客さまが行動する(サービスを受ける)順序で考えてみるならば次のようになる。お出迎え→チェックイン→ご案内→客室→大浴場→夕食→バー・ラウンジ・和食処→客室→朝食→売店→チェックアウト→お見送り、というように整理できるだろう。
アクティビティを実施していたり、他に付帯施設があったりする場合は、適宜順序を変えて整理してほしい。口コミ評価は、順序の前半で印象が悪いと後半にも悪影響を及ぼすので(坊主憎けりゃ袈裟まで憎い)、前半で評価を下げているポイントを特定できれば、より具体的な対策につながるだろう。
順序で考える思考法は、営業の施策を検討する際にも役立つ。営業の流れを整理すると、顧客(団体客またはエージェント)訪問する→見積もり依頼を受ける→受注する→サービス提供する→フォローアップする、というように整理できる。
どの段階で取りこぼしたのかを分析することによって、営業の運動量が不足しているのか、自社の提案力が不足しているのか、見積もりに魅力がないのか、サービス満足度が低いのか、次回以降のフォローが不足しているのか、問題点を特定することができる。
営業会議は精神論になりやすく、訪問件数を増やすべきだという短絡的な結論にならないためにも、順序で考える癖づけをスタッフに徹底したい。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)