前回に引き続き、旅館・ホテルの現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明しよう。前例と勘に頼って安易に解決を図ろうとせず、業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力を現場スタッフに身につけさせよう。
3、大きさで考える
物事に取り組む優先度を決めるには、大きさで考えると整理しやすい。
例えば集客手段で考えてみよう。直接予約、リアルエージェント、ネットエージェント、メディア系、インバウンド、フラッシュマーケティングなど、さまざまな手段を挙げることができる。それぞれの手段はさらに細分化することができるだろう。
多様化する集客手段に対して、全てに渡って同様の労力と予算をかけるのは難しい。評価項目をリストアップして大きさで考えてみよう。
例えば、集客力、集客費用、担当者との関係性、毎年の安定性、売り上げ実現までのリードタイムなどが挙げられる。営業会議の場でスタッフに検討させるならば、評価項目に○×△をつけると自社が重視すべき集客手段を決めることができるだろう。
大きさで考える手法は、経費削減を検討する際にも役立つ。
損益計算書において、費用Aが月1万円、費用Bが月100万円かかっているとした場合に、優先的に削減を検討すべきは費用Bである。費用Aについて削減努力をしても効果は限定的である。損益計算書を見て、金額の大きいものから手をつけていかなければならない。
ここで必要になるのがスタッフへの情報公開である。問題解決スキルを身につけるためには、正確な情報を入手できることが前提となる。
正確な情報がないと、スタッフ不在時に事務所の照明を消すというような目先の小さな経費削減ばかりが提案され、より高額の支出につながっている経費の特定につながらない。スタッフに問題解決能力をつけさせ、効率的な運営を行うためには、可能な限り経費内容の開示を行うことが望ましい。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)