前回に引き続き、旅館・ホテルの現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明しよう。前例と勘に頼って安易に解決を図ろうせず、業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力を現場スタッフに身につけさせよう。
4、関係性で考える
ある事象と別の事象との関係性を見抜くことが有効な解決策につながる。例えば、営業成績の良いスタッフとそうでないスタッフとの差はどこにあるか原因を把握してみよう。営業経験の差(ベテランと若手との差)と短絡的に考えてはいけない。
取引先数や訪問回数、値引き額など営業成績と関係があると思われるデータを収集し、エクセルの散布図機能などを活用して関係性の有無について分析してみよう。
一般的に指摘されるのが、訪問回数と営業成績との関係だ。営業訪問回数が多いスタッフほど優れた営業成績を出す傾向にある。皆さまの旅館・ホテルの営業部門はどのような傾向が見られるだろうか。
営業スタッフとして採用したのに、人手不足だからと内勤ばかりさせては営業成績を上げることは難しい。優秀な成績を出すには、月最低何百回の訪問回数を確保する必要があるか分析して目標設定することが望ましいだろう。
スタッフの問題解決能力を高めるならば、分析に必要なデータを全て開示して、営業成績と関係性の高いものを自力で探すよう指示するのも有益である。旅館・ホテルの営業部門はどうしても過去の経験や勘に頼るスタッフの声が大きくなりがちだ。
こういったトレーニングを通じて問題解決スキルを身につければ情緒的にならずに具体的な解決策を導き出すことができる。
関係性で考える方法は、営業以外の分野でも活用可能だ。料飲原価率と口コミ評価との関係、滞在時間と顧客満足度との関係、来館人数とスタッフ投入時間との関係、清掃時間とクレーム件数との関係など2種類のデータがあれば分析できる。スタッフが習得し現場で生かせるよう指導することをお勧めしたい。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)