【道標 経営のヒント 213】JATA主催「海外卒業旅行企画コンテスト」に挑戦 九州国際大学教授 福島規子


 日本旅行業協会(JATA)主催「海外卒業旅行企画コンテスト2019」の最終審査会が、「ツーリズムEXPOジャパン2019」の会場で、10月25日に公開プレゼンテーション形式で行われた。福島ゼミは応募総数335件のうち、ファイナリスト6組に選ばれ、日本人学生、中国人留学生、ベトナム人留学生の3人がステージに立った。

 このコンテストは若年層の海外旅行需要喚起を目的に大学生を対象として実施されるもので、1次審査はJATA海外旅行推進部が行い、2次審査ではJATA会員の旅行会社および有識者らによって行われる。2次審査通過後は、JATA会員の旅行会社と学生が共同で販売可能な旅行商品へと練り上げていく。

 昨年度グランプリを獲得した福島ゼミの「車いす学生と行く海外卒業旅行ペガサス・ボヤージュ」では、受賞後にクラウドファンディングで資金を調達し、車いすモニターの男性とゼミ学生4人が昇降式電動車いすを携えてオーストラリア・シドニーで4泊7日のモニターツアーを実施した。日程は2019年3月14日~20日。帰国後は報告会を福岡市と北九州市で開催したほか、地元テレビ局で特集を組まれるなど話題になり、注目を集めた。

 さて、今年の福島ゼミのテーマは、二つの国の留学生と日本人学生がともにタイに行き、現地の食材を使って弁当を作り地元の人が行くレジャースポットでいただくというもの。企画名はそのものズバリ「ベントウ・ジャーニー」だ。パートナー企業は、昨年に引き続き西鉄旅行北九州支店様で親身にご指導をいただいた。「ベントウ・ジャーニー」のポイントは三つ。「留学生×SDGs×滞在型旅行」だ。

 現在、日本で学ぶ留学生は34万人。留学生と日本人学生が一緒に旅することで、若者の海外旅行離れに歯止めをかけたいという。また、航空機はLCCではなく、CO2削減に取り組む大手航空会社の便を使用するなど環境に負荷をかけないさまざまな工夫を盛り込み、海外旅行でSDGsの実現を目指す。さらに、あえて世界遺産アユタヤなどの有名観光地には行かず、徹底して現地の若者の行動を観察することでライフスタイルを試着し、滞在型旅行を満喫する。有名観光地に行かないことで、近年、深刻化しているオーバーツーリズム問題の解決にもつなげたい考えだ。ほかにも留学生が旅行費用をためる方法として、いま話題の「Finbee」の活用や、インスタの「いいね!」を1円に換算し「いいね!」の数分だけ途上国の教育関連事業に寄付するといったアイデアも盛り込んだ。

 留学生と日本人学生がともに旅する本企画は、粗削りで市場もニッチではあるが、観光で社会を変えたいという学生たちの熱く真摯(しんし)な取り組みは頼もしい限り。審査結果は、グランプリは逃したものの「審査員特別賞」を受賞した。感謝。

 
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