【道標 経営のヒント 261】留学生向けSDGs旅行「ベントウ・ジャーニー」募集開始 九州国際大学教授 福島規子


 新型コロナの影響により大学の講義風景はかなり様変わりしている。春学期は、全ての講義が遠隔授業だったものの、秋学期には対面授業も増え、現在は遠隔と対面の授業が混在する状況が続いている。福島ゼミでも春学期はZoomを使って旅行企画を練り上げてきたが、ここにきてようやく受け入れ各所との打ち合わせが対面でできるようになり、実施に向けて弾みがついてきたところだ。

 さて、現在、福島ゼミが取り組んでいるSDGs旅行「ベントウ・ジャーニー(BENTO JOURNEY)」は日本で学ぶ留学生に、一生涯付き合える日本人の親友を作ってもらうことを目的とした滞在型体験旅行である。留学生とその友人はドミトリーに泊まり、自分たちで作った弁当を食べ、近くの銭湯に通い日本ならではの裸の付き合いを堪能する。

 実は、この旅行企画は日本旅行業協会が主催する「海外卒業旅行企画コンテスト2019」で、審査員特別賞を受賞した「ベントウ・ジャーニータイの旅」を、福岡県北九州市に滞在する3泊4日の国内旅行に再構築したものである。

 SDGsとは世界の貧困削減および持続可能な開発の促進に向けて設定された目標だが、国連世界観光機関(UNWTO)でも負の影響を最小限に抑えつつ、観光が社会経済に最大限に寄与することを目指し、持続可能な開発目標(SDGs)を達成する手段として観光促進に取り組んでいる。

 そこで、ベントウ・ジャーニーでは「観光でSDGs」を大上段に構えることなく、参加者自身がSDGsを「ジブンごと」として捉えるさまざまな仕掛けを盛り込んだ。例えば、地元の食材を使って旅行者自身が弁当を作ることで食品ロスをなくし、火を使わない調理方法で環境への負荷を軽減する。また、子ども食堂の子どもたちと一緒に弁当を作り、ふれあうことで普段は接することがない、アジア諸国とは様相が異なる日本の貧困層への積極的関与を促していく。さらに、インスタグラムにアップした弁当写真「いいね!」一つを1円に換算して環境保全団体に寄付し、自身の行動が、SDGsに寄与していることを可視化する。ほかにもリサイクルされた弁当箱を活用するなど小さな取り組みも数多く散りばめ、参加者のSDGsへの関心の高まりを狙う。

 催行は2021年3月の第1週、第2週、第4週の金曜日~月曜日までの計3回。交通機関や宿泊施設の予約は参加者自身が行うが、現地では福島ゼミのメンバーが出迎えから見送りまで手厚くサポートする。

 「観光でSDGs」。実現に必要なのは説得でも納得でもない。世界を変えたいという思いに対する「共感」だ。11月19日。全国に向け留学生の募集を開始した。

 
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