11月6日に観光庁・宿泊業の生産性向上推進事業のつづきとして国際観光施設協会と日本旅館協会の共催で、観光庁の後援を受けて表題のシンポジウムを大手町で開催した。120名ほどが参加し両協会から鈴木会長と針谷会長、観光庁からは鈴木観光産業課長はじめ5名に参加いただく。私がエコ・小委員長として司会と基調講演を担当した。
エコ・小活動10年余りの蓄積をもとに中山委員から伊東温泉のD旅館で年間6千万円を4千万円に削減を目指す事例、小川委員から新潟のH旅館で水光熱費を半分以下とした事例、増田委員から基礎電力削減、新田委員から見える化の話をした。2時間30分にわたって旅館の問題点の実例を挙げ水光熱データの分析から改善する手法を示した。旅館の宿泊客1人当たりの水光熱費は平均1300円であり、900円以下の旅館は17%に対し1500円を超える旅館は25%もある。900円になればその差額は毎年の純利益となり理事皆さんの興味が高まる。
今までホテルレストランショーなどでエコ・小セミナーを開いているが、テーマが地味なせいかいつも人集めに苦労した。今回は日本旅館協会の理事会の後に設定させていただき成功につながった。今までの経験で経営者は自館の水光熱費を把握していないと思い「宿泊客1人当たりの水光熱費を把握している方手を上げて」とお願いした。すると過半数の手が上がるではないか。司会者からの突然の指名にも自館の水光熱費削減と生産性向上につながる取り組みについて要領を得た受け答えが返ってくる。光熱費の削減に自分で取り組み、悩みも持っているためにわれわれ専門家による指導を受けたいという要望が多い。50名を超える日本各地を代表する理事は情報の受け手としては優秀でかなり専門的な話にも興味を持ち、理解が早く感心する。シンポジウム後の情報交換会では早速に具体的な話が始まり、福島、石川、富山、三重、新潟で地域エコ・小活動を開きたいと相談される。観光庁含めて皆さん顔見知りも多く、信頼関係が築きやすいのがうれしい。観光庁の理解も得られてこの活動が全国に広がるきっかけとなるシンポジウムになったと思う。
エコ・小で水光熱費を適正に下げたことで得られる利益を旅館の顧客価値の向上につなげることが最終目的で、私の旅館設計者としての役割であると思っている。エコ・小による生産性向上が三方良しの成果を上げられるようもうひと頑張りしなければと思った1日であった。