草津温泉のシンボル・湯畑の側にあるホテル一井(市川忍社長)は、江戸時代から三百余年の歴史を刻む老舗の宿だが、その心意気をそのままに、リニューアルを積極的に行い、快適さを極めた宿へと変貌を遂げつつある。
大浴場「石殿」は2021年8月にリニューアルオープン。内湯は湯畑周辺の10軒ほどの施設しか使用できない、湯の華が豊富で希少な白旗源泉を引いている。温度別の三つの浴槽を設け、熱いお湯が苦手な人や子供でも安心して入れるよう配慮した。
また、露天風呂「石庭」は、酸性が強くさっぱりとした浴感の万代鉱源泉を掛け流している。東屋風の六角屋根が特徴的で、開放的な高原のさわやかな風を感じられる。
白旗と万代鉱という個性の異なる二つの源泉を入り比べれば、温泉の持つ奥深さを実感できること請け合いだ。
リニューアルは続く。今年3月、本館最上階8階に「湯畑側エグゼクティブルーム&山側エグゼクティブルーム」が誕生した。
飛騨家具のソファでくつろげるインナーテラス風リビング、最上級の寝心地を体験できる8・25インチ厚マットレスのシモンズベッド、テレビやサブスクリプションサービスを大画面で楽しめるプロジェクターが備え付けられており、草津での滞在が特別なものになる。
10月1日には、別館9階の大宴会場がリニューアルされ、新しい食事会場「ビュッフェ湯雲(とううん)」がオープン。
「ハレの日を楽しむ」をコンセプトに、夕食は和洋中をはじめ、ライブキッチンで提供する上州牛のステーキやローストビーフ、女将のレシピで作る特製ミートローフなど。朝食は和洋を中心に、焼きたてのパンや好みの具材を選べるオムレツなど。選ぶのに迷う。
▽群馬県吾妻郡草津町411。TEL0279(88)0011。https://www.hotel-ichii.co.jp/
大浴場の内湯には温度別の三つの浴槽を
ビュッフェ湯雲で提供する料理(例)