【飛騨高山観光特集】春の飛騨高山でリフレッシュ 観光基盤のまちづくりに向けて


祭りと桜、飛騨高山は春爛漫

18万人の人出を見込む

飛騨路に春の訪れを告げる「春の高山祭」(山王祭)が4月14、15日、高山市内で開催される。高山祭の屋台行事はユネスコ無形文化遺産に登録されており、その絢爛豪華(けんらんごうか)さから日本三大美祭の一つに数えられている。

高山祭は「春の山王祭」と「秋の八幡祭」(同10月9、10日開催)の総称。「山王祭」は城下町の南半分の氏神様である日枝神社(山王様)の例大祭で、上一之町・上二之町・上三之町などが舞台になる。

コロナ禍の影響で2020年は中止、21年は規模を縮小して開催。22年は例年通りを予定していたが、雨のため屋台の曳(ひ)き揃(そろ)えや御巡幸、夜祭りは中止になった。23年も15日の屋台行事が雨のため変更になったが、2日間の人出は16万8千人となり、コロナ禍前(19年)の18万2千人の9割まで回復した。昨年の人出は18万8千人ほどで、コロナ禍前の水準に回復した。今年も18万人の人出を見込んでいる。

今年は「恵比須台」の修理も終わり、12台の絢爛豪華な屋台が蔵から出され、桜が見頃を迎える中、古い町並や中橋を通り、それぞれの場所に曳き揃えられる。屋台曳き揃えやからくり奉納、夜祭り、御巡幸など見どころがいっぱいだ。


ユネスコ無形文化遺産「高山祭の屋台行事」。絢蘭豪華だ

心揺さぶる美の競演

飛騨高山の春を彩るのが各地にある美しい桜。県指定天然記念物の荘川桜(荘川町)、国指定天然記念物の臥龍桜(一之宮町)など見応えのある桜が至るところに。

幹の形が龍の臥した姿に似ていることから名付けられたのが臥龍桜。樹齢約1100年、枝張り30メートル、高さ20メートルに及ぶ日本を代表するエドヒガンザクラの大樹。4月中旬から臥龍公園で「桜まつり」が開催される。

県指定天然記念物の西光寺の枝垂れザクラは、樹齢800年以上と推定される県下でも珍しい枝垂れ桜の巨木。ヒガンザクラの変種といわれ、毎年地表に覆い被さるように花を咲かせる。見ごろは4月下旬。

御母衣(みぼろ)湖畔にある荘川桜はアズマヒガンザクラで、樹齢約500年といわれる。今はダムの湖底に沈んでしまった光輪寺と照蓮寺の境内にあった巨桜で、水没させるのはしのびないとして、現在の場所に移植された。見ごろは例年4月下旬から5月上旬で、満開後3日間はライトアップされる予定だ。


西光寺の枝垂れザクラ

飛騨山脈の自然に抱かれた奥飛騨温泉郷

個性豊かな五つの温泉地 日本一、100超える露天風呂

雄大な自然をバックに、野趣あふれる露天風呂で心も体もリフレッシュできるのが飛騨山脈(北アルプス)の麓に広がる奥飛騨温泉郷だ。平湯、福地、新平湯、栃尾、新穂高の五つの個性豊かな温泉地がある。

高山市内からはバスで1時間ほどの距離。湯量豊富で、露天風呂は大小合わせて100カ所以上あり、その数日本一といわれる。新穂高ロープウェイや上高地、乗鞍スカイラインなど日本屈指の山岳景勝地も近く、雄大な自然を満喫できる。

平湯温泉は温泉郷の中で一番古くからある温泉地。関東方面からのアクセスも良く、上高地や乗鞍岳へのシャトルバスが発着する平湯バスターミナルがある。自家源泉を持つ宿が多く、入浴施設や足湯も充実。

福地温泉は温泉郷の中でも山の静寂に包まれた秘湯的な温泉地。温泉街には朝市があり、地元の特産品を買うことができる。飛騨地域や新潟の古民家を移築、改装した宿も多い。

新平湯温泉は温泉郷のほぼ中央に位置し、小規模から大規模までさまざまなタイプの宿泊施設がある。飲食店も多い。名水「たるま水」もあり、名水の里ともいわれている。

栃尾温泉は清流蒲田川と平湯川の合流地点に広がる温泉地。蒲田川はイワナやヤマメなど渓流魚の宝庫としても知られ、釣り人にも人気。

新穂高温泉は北アルプスの登山口にある温泉地。エリア内には奥飛騨最大の観光スポット、新穂高ロープウェイがあり、多くの観光客でにぎわっている。

昨年7月には中部山岳国立公園奥飛騨ビジターセンターがリニューアルオープン。インフォメーション棟と自然体験棟の2棟で構成されている。総合案内では乗鞍や新穂高など各地の天気、交通、観光情報などを提供するほか、旅の相談に対応するなど、旅の拠点としても利用できる。


渓流の側にある新穂高の湯

宿泊者に好評「湯巡り手形」

奥飛騨温泉郷で売られている湯巡り手形「奥飛騨湯けむり達人」が宿泊客に好評だ。豊富な湧出量を誇る奥飛騨の温泉を心ゆくまで楽しめる手形となっている。

手形は1枚1200円。手形に付いている3枚の入浴シールを利用して、温泉郷の13の加盟施設からお気に入りの温泉を選んで入浴できる(施設により枚数が異なる)。

シールをはがすと下地に温泉郷のマークが印刷されており、三つそろうと記念品が当たるチャンスも。加盟施設や案内所で購入できる。

温泉郷や手形などに関する問い合わせは奥飛騨温泉郷観光協会、TEL0578(89)2614。


宿泊客に好評な湯巡り手形

風情ある東山遊歩道

散策に最適、もう一つの名所

観光名所・古い町並から徒歩約10分、しっとりと落ち着いた雰囲気を漂わせるのが東山エリア。散策にはもってこいの場所だ。

多くの寺院や神社があり、風情ある建物や庭園をゆっくり巡れる「東山遊歩道」(全長5・5キロ)が整備されている。

高山の礎を築いた戦国武将の金森長近公ゆかりの禅宗寺院などが建てられ、東山寺院群が形成されている。遊歩道はそれら貴重な文化財を巡るルートでもある。

昨年は長近公生誕500年にあたり、一般財団法人金森公顕彰会はさまざまな記念事業を実施。講演会や高山城復元の啓発などに取り組んだ。

遊歩道には本堂が県指定重要文化財とされている法華寺、鐘楼門が市指定文化財の雲龍寺、座禅体験ができる善応寺など見どころも多い。

近くにある江名子川遊歩道もぜひ訪れてみたい。小さな橋がいくつも架かり、趣のある風景が楽しめる。

長近公をしのんでゆっくりと散策するのもいい。


静かでしっとりとした雰囲気

酒蔵めぐるのん兵衛まつり

6酒蔵が参加、ほろ酔い気分に

うまい地酒がそろい踏み―古い町並が残る「さんまちエリア」の酒蔵を巡りながら、日本酒の試飲とまち歩きを楽しむ第6回「飛騨高山・酒蔵のん兵衛まつり」が6月5日から30日まで開催される。主催は飛騨・高山観光コンベンション協会。

のん兵衛まつりは、100年以上の歴史をもつ平瀬、二木、平田、老田、舩坂、原田の六つの酒蔵を巡り、それぞれの日本酒を味わってもらう。これら酒蔵や中橋観光案内所、高山濃飛バスセンターで「飛騨高山御酒飲帳セット」(3千円)を購入すると、各酒蔵で2種類の日本酒が試飲できる。セットには特製エコバッグと缶バッジが付いている。

六つの酒蔵で試飲し、スタンプを集めると達成記念のプレゼントがもらえる。また、酒蔵で買い物をすると、千円ごとに押印され、集めた数でペア宿泊優待券(3万円相当)や飛騨牛(1万5千円相当)など豪華賞品が当たる抽選に参加できる。


酒蔵自慢のお酒でほろ酔い気分に

新穂高ロープウェイ

「頂の杜」は昨年10月に全面開業

奥飛騨温泉郷にある新穂高ロープウェイは、標高2156メートルの西穂高口駅展望台から北アルプスの山々を見渡すことができる絶景スポットだ。

眺望もさることながら、国内唯一の2階建てゴンドラも体験したい。施設も次々とリニューアルされ、ぜひ足を運んでほしい。

山頂エリアにある「頂(いただき)の森」は西穂高口駅の前に広がっていた「千石園地」をリニューアルし、昨年10月にグランドオープンした新たな見どころだ。

展望デッキは「槍の回廊」と名付けられている。槍・穂高連峰が間近に感じられるよう、ブーメランのように空中に張り出しており、ちょっとしたスリルが味わえる。

問い合わせは新穂高ロープウェイ、TEL0578(89)2252。


2階建てゴンドラから見る光景は壮観

飛騨高山ウルトラマラソン

6月8日開催U25割枠設定

標高差約500メートル、「日本屈指の難コース」といわれ、フルマラソン完走経験者だけが参加できる「飛騨高山ウルトラマラソン」が6月8日に開催される。13回目。昨年は県内外から参加した3093人が100キロと71キロの2部門に分かれて出走し、2372人が完走した。海外からもエントリーがあったという。

コースは飛騨高山ビッグアリーナを発着点とする100キロと71キロだが、今年から新たに「U25割枠」(6月8日時点で年齢が25歳以下)が設けられた。計3500人の参加を見込んでいる。観光名所「古い町並」を通り抜け、北アルプスを望む里山地域へ。沿道に設けられた「エイドステーション」でエネルギーを補給しながらゴールを目指す。制限時間は100キロ14時間、71キロ11時間と設定されている。

参加資格は大会当日18歳以上で、フルマラソン完走経験のある健康な男女。参加費は100キロの部が2万2千円、71キロの部が1万8500円。U25はそれぞれ1万7600円、1万4800円。

地元ボランティアのおもてなしと飛騨牛など地元特産品を堪能できるエイドも楽しみの一つ。

問い合わせは大会事務局、TEL0120・846・024。


日本屈指の難コース

自然豊かな「五色ヶ原」

3体験コース、ツアーも設定

雄大な乗鞍岳の裾野に広がるのが「乗鞍山麓五色ケ原の森」。中部山岳国立公園の南端にある約3千ヘクタールの広大な森林地帯だ。ブナやミズナラなどの広葉樹林、シラビソなどの針葉樹林が主体となり、可憐な花を咲かせる希少な山野草も多数確認されている。

また、乗鞍岳を源とする多くの渓流と滝、湿原もあり、四季折々、自然の多彩な表情を見ることができる。

「カモシカ」「シラビソ」「ゴスワラ」の三つの体感コースがお勧め。シラビソコースは布引滝やわさび平湿原、雄池などを見ることができる、距離7・3キロ、約9時間のコースだ。ツアー(5月20日~10月31日)もある。予約・問い合わせは五色ケ原の森案内センター、TEL0577(79)2280。


森林浴で健康に

【問い合わせはこちら】
高山市観光連絡協議会 一般社団法人飛騨・高山観光コンベンション協会
〒506-0011 岐阜県高山市本町1の2 電話0577(36)1011 FAX0577(36)0091


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