蕎麦(そば)、うどん、中華麺などの多彩なコナモンがある。しかし、頭文字に日本が付くのは蕎麦だけだ。近年、海外で日本蕎麦が淡泊でダイエット効果があると注目。そこで、蕎麦のかけ蕎麦は温かいつゆだが、ざる蕎麦ともり蕎麦は、冷たい麺つゆで食する。では、ざる蕎麦ともり蕎麦との違いは何か。
江戸時代、伊勢屋のざる蕎麦は竹ざるに盛り、高価な蕎麦粉、一番だし、さらに、高価なみりんを加え、熟成した調味料のかえし(御膳かえし)を使った。
また、もり蕎麦はセイロで山盛りにした蕎麦にツユをつけた安直な食物。しかも、蕎麦も安い小麦粉、つゆは雑ぶしや二番だしなどを使った。
江戸時代、ざる蕎麦はもり蕎麦よりも品質、器、だし、かえしも高級だった。今日、蕎麦の品質には双方、特段の差がない。しかし、海苔がのっているざる蕎麦は、一般に、もり蕎麦よりも値段が高い。
日本人には、高額なざる蕎麦ファンがなぜか多い。それは蕎麦にのせる海苔の高級感の差別化によるものか。海苔は蕎麦にない栄養素があり、また、磯の香や見た目も良く、食欲をそそる。
外国人は当初、海苔をブラックペーパー(黒紙)と思った。最近、寿司ブームもあり、海苔は紙ではなく食物として認知されている。今後、ざる蕎麦がヘルシー人気によるだけではなく、喉越しや海苔の磯の香に魅される蕎麦通ファンの外国人が増えることを願いたいものだ。
(梅花女子大学教授)