国際観光都市の岐阜県高山市は、国内外からの観光客だけでなく、教育旅行先として学校からも注目を集めている。2016年度は、小中高等学校など計18校を受け入れた。多彩な歴史・文化や観光資源、体験型プログラムを紹介しよう。
ユネスコ無形文化遺産「高山祭の屋台行事」
春の高山祭
16年12月に高山祭の屋台行事を含む全国の「山・鉾・屋台行事」33件が念願のユネスコ無形文化遺産に登録された。高山祭とは、毎年4月に開催される日枝神社の例祭「山王祭」(春の高山祭)と、毎年10月に開催される櫻山八幡宮の例祭「八幡祭」(秋の高山祭)の総称。京都の祇園祭や秩父の夜祭と合わせて日本三大美祭や日本三大曳山祭の一つに数えられる。
見所は、動く陽明門とも称される絢爛豪華な祭屋台(山車)。細かい彫刻やきらびやか
な飾金具、方向転換するための戻し車など、祭屋台は飛騨の匠の技の集大成だ。
日本遺産「飛騨の匠の技・こころ」
古代、税(庸・調)を免除する代わりに、木工技術者を都へ派遣する全国唯一の制度に「飛騨工(ひだのたくみ)制度」がある。飛騨人の優れた木工技術を中央政府が都の造営に利用したもので、その優れた木工技術者のことを現代に至るまで飛騨匠と呼んでいる。
このストーリー「飛騨匠の技・こころ ―木とともに、今に引き継ぐ1300年―」が、16年に日本遺産に認定された。
古い町並「伝統的建造物群保存地区」
古い町並み
高山市の人気観光スポットは、上三之町を中心とした「古い町並」と呼ばれるエリアだ。江戸時代後期から明治期の町家が立ち並び、出格子とこげ茶色のベンガラで塗られた町並みは時代劇のセットのような雰囲気。国の伝統的建造物群保存地区にも指定されている。
古い町並とその周辺には見所が集まっている。国内で唯一現存する「高山陣屋」(国指定史跡)や、金森氏ゆかりの寺社が並ぶ「東山寺院群」、秋の高山祭の屋台が通年展示してある「高山祭屋台会館」などが人気だ。
飛騨民俗村 飛騨の里
飛騨の里
「飛騨の里」は、世界遺産「白川郷」などから移築した合掌造りや榑葺き屋根の民家など30数棟が建ち並ぶ民家の博物館。田んぼや畑、池など昔の農山村風景を再現している。
建物内には、昔の農山村の生産・生活用具が数多く展示されているほか、わら細工や刺し子、機織りなどの実演、田植えや稲刈り、ライトアップなど四季折々のイベントも行われている。
農山村体験型観光
高山市は約9割が森林という豊富な地域資源を生かしたグリーン・ツーリズム(農山村体験型観光)に取り組んでいる。農業や自然、生活文化、食文化、環境活動など70種類以上に及ぶ体験メニューを用意。農家民宿に泊まりながら、地元の人たちとふれあい、自然とともに生きる知恵を学ぶ機会を提供している。