【高校教育旅行特集】日本一の“ほんもの”田舎暮らしを体感（徳島県・美馬市・三好市・つるぎ市・東みよし町）

臼を使った粉ひき体験

世界農業遺産にし阿波

　その昔、徳島県の都市部に住む人々は、自分たちが住む場所よりも標高の高い当地のことを「そら」と呼びました。「そらの郷」は素朴で解放感のある当地の愛称です。

　そらの郷は、四国の中央に位置する「にし阿波～剣山・吉野川観光圏」（美馬市、三好市、つるぎ町、東みよし町）にあります。にし阿波は、剣山や吉野川に代表される自然、歴史文化、伝説や伝承、さらに独特の食文化、伝統芸能に彩られた県内屈指の観光地域であり、素朴で温かみのある古き良き暮らしが今もなお息づく地域です。

　ほんもの田舎体験

　地域内約１７０軒、同時受け入れ人数約５００人となる、にし阿波の教育旅行受け入れ家庭は、その多くが山腹の急傾斜地に張り付くように形成される集落に存在し、独特の文化的景観を形成しています。古来よりにし阿波の人々は、洪水を繰り返す暴れ川と険しい山並みを暮らしの舞台として生き抜いてきました。厳しい自然と共生する暮らしにある、山や畑、石積みやコエグロ、家屋などが一体となった独特の風景こそが桃源郷と称される日本の原風景です。

　この魅力ある景観や農林業、地域の食などを活用し、訪日外国人の誘客を進める当地は、「にし阿波・桃源郷」として平成２８年に農林水産大臣より「食と農の景勝地」の認定を受け、今年３月には、「にし阿波の傾斜地農耕システム」が評価され、国連食糧農業機関が提唱する「世界農業遺産」に認定されました。

　これら自然と共生してきた先人の英知を誇りに、地域、家族で次世代につなぐ日本一の田舎暮らし。生徒たちは家族として迎えられ、茶摘みやタマネギ、ジャガイモの収穫など自給的な農作業を手伝い、収穫した新鮮な野菜や山菜を使って田舎料理を共同で調理します。郷土料理やそば作り、自然の竹から器や箸、台、すべてを一から作る流しそうめんなど、家庭ごとに多彩な体験が用意されています。作った料理を囲み、家族とコミュニケーション。これらの生活体験を通じて農林漁家の生業の大変さ、不便さを知り、挑む精神力や工夫する創造力を身に付け、乗り越える達成感や感動、家族との交流を心に刻み、「生きる力」と「心の豊かさ」を育みます。

　すべての受け入れ家庭やインストラクターは、研修や安全講習を受け、危機管理や安全対策に関する万全の体制を整えています。

　ラフティング

　日本三大暴れ川の一つ、吉野川は世界有数のラフティングコースで、昨年１０月、日本初のレースラフティングの世界選手権が開かれました。荒々しく雄大な吉野川の流れが、そらの郷の山並みを深い渓谷で刻み、厳かで美しい景観が楽しめます。仲間と力を合わせ、ボートを操り、ワールドクラスの激流を乗り越え、チームワークの形成や達成感を味わいます。頼れるリバーガイドが川や自然との付き合い方を伝授します。安心安全そして五感で吉野川の魅力を感じ、自然と人の共生が織りなす水の循環を学ぶことができます。