持続可能な新しい価値を創造へ
受験学力から未来学力
2021年以降本格実施される新学習指導要領は、「主体的・対話的で深い学び」として課題発見・問題解決型学習の手法による生徒の能動的な学びで、深い知識と応用力を身に付けることを要求しています。世の中の「正解のない問い」に答えを出せる「問題解決能力」や「創造性」であり、未来学力といっても良いものです。この予測不可能な時代を生き抜く次代を担う青少年には、こうした力が不可欠です。教育界の要請に応えるために、南信州地域は全国に先駆けて体験教育旅行の誘致を行ってきました。
世界の潮流はSDGs
国連が世界共通の目標として定めたSDGsの重要性を多くの人々が認識するようになってきました。学校現場では、このSDGsと新学習指導要領の「主体的で対話的な深い学び」を結び付けた質の高い教育プログラムが求められています。
私たちは、2002年学習指導要領が求めた「生きる力」を育むことに活用できる地域資源を活用した体験プログラムの開発に努めてきました。特別教育活動として実施される修学旅行にSDGsプログラムを導入する準備も整えました。教育旅行におけるSDGsプログラム展開に必要な要素は次の通りです。
(1)受け入れ地域の自治体・農林業団体などの協力=南信州観光公社は16市町村やJAみなみ信州などの農業団体が出資する組織で、SDGsプログラム展開のための協力を得ることができます(2)ファシリテーター(学習支援者)人材=行政担当者や地域おこし協力隊、村おこし団体などのコーディネーターがグループワークに参加し、SDGs学習の進行を支援します(3)多様性のあるフィールド=南信州は8割以上が森林地帯。農業生産は長野県内で最も多様性を持っています。単一作目ではなく、複合経営が大半で果樹ではりんご、梨、桃、ぶどうなど種類が多く、野菜は葉物、根菜、夏野菜など少量多品目の生産を行っています(4)学校・地域・旅行会社・コーディネート組織の協働=学校の狙いや思いに添ったカスタムメイドの、ここにしかないプログラムを創り出します。そのためには、学校、地域、旅行会社、南信州観光公社の協働が不可欠です。
SDGsの失われた集落から考える持続可能性
大平宿は飯田市と妻籠宿を結ぶ街道の中間点に位置する旧宿場町。江戸時代から大正時代の古民家が残り、いろり、かまど、まき風呂という人間と火の関係が最も近かった原生活体験が可能です。この宿場は昭和45年に集団離村します。その原因と現在・将来を当時の居住者とともに考えるSDGsプログラムです。通常は、集団離村→無住地→民家の腐朽→集落消滅と進みますが、この大平宿はそうなりませんでした。持続可能性をいったんは失いながら、今に残された旧宿場の秘密に迫ります。
なぜ今、南信州なのか
農泊、文化・歴史・自然・アウトドアスポーツ・農林業などの189の体験プログラムを開発▽1996年から修学旅行の受け入れを開始、25年に及ぶ豊富な経験を持つ▽農泊農家は450軒で全てが簡易宿所(旅館業法)の認可を受けている。
私たちの考えるSDGsは「持続可能な開発目標」ではなく、「持続可能な新しい価値創造」です。どうぞ南信州にお越しください。
天竜川でのラフティング
南信州観光公社