国内の宿泊需要は回復 得意分野で旅館・ホテルを支援
コロナ禍は終わった。国内観光需要もインバウンド市場も回復した。ただ、宿泊業界は人手不足のため、その需要を吸収し切れていない。国内OTA各社はそれぞれが別の強みを持った企業グループに属しており、おのおのの得意分野を生かして国内の旅館・ホテルを支援する体制にかじを切りつつある。各社の現状と今後の方向性を聞いた。(23年12月5日、東京・日本橋のロイヤルパークホテルで)司会=観光経済新聞 企画推進部長 兼 kankokeizai.com 編集長 江口英一
髙野芳行氏:楽天グループ 上級執行役員 コマース&マーケティングカンパニー トラベル&モビリティ事業ヴァイスプレジデント
池口篤志氏:JTB 執行役員 Web販売事業部長
宮本賢一郎氏:リクルート 旅行Division長
榊 淳 氏:一休 代表取締役
――2023年はどんな年だったか。楽天トラベルの髙野さんから。
髙野 23年は全国旅行支援もあり、好調だった。国内宿泊実績はコロナ禍前の19年比で約40%増で推移している。ビジネス、レジャー、温泉、高級といった全てのカテゴリーで好調だった。ここ数年力を入れてきたブランド施策やレジャー向けのキャンペーンが奏功したと感じている。
楽天グループ 髙野氏
――楽天グループの楽天ポイントの存在は際立っている。ポイントプログラムの強さがブランドロイヤリティの高さにつながっている。
髙野 楽天カードの発行枚数は3千万枚を突破。クレジットカードショッピング取扱高は国内カードでトップだ。さまざまな調査においても、楽天ポイントは満足度トップに挙げられている。さらに、楽天エコシステムも拡大を続けており、楽天モバイルが長期的なエコシステムの価値向上に貢献している。楽天モバイルを1年以上契約している楽天トラベルユーザーの年間流通は、非契約者の約2倍というデータもある。
――国内旅行の伸びに傾向や特徴はあるか。
髙野 22年はカテゴリーによって多少ばらつきがあったが、23年は全般的に伸びた。何か不安要素があると、特に家族連れの予約などは止まってしまう傾向にあるが、今はそれが全くない。
――楽天トラベルは、もともと出張需要に強いOTAだ。ビジネス予約も完全に戻ったのか。
髙野 戻ってきてはいるが、レジャーの伸びに比べると勢いはない。コロナ禍でオンラインミーティングが一般化し、商談や会議で必ずしも遠隔地に足を運ばなくてもよい世の中になった。その分の出張需要は減ったと考えている。
――特に外資OTAはチャットGPTなどAIの活用を売りにしているが、楽天トラベルはどうか。
髙野 楽天グループもオープンAIと提携して、チャットGPTを活用したさまざまなサービスの開発に取り組んでいる。
――楽天トラベルでは具体的にどのような取り組みを。
髙野 現在は生成AIを使って社内のオペレーションやマーケティングの領域で改善に取り組んでいる。例えば、マーケティング効率は20%の改善を目標に掲げている。その先には、チャットGPTを使ったクライアントの問題解決にも活用することを目指している。
――チャットGPTを使って、楽天が宿泊施設の生産性向上を指南してくれるのか。
髙野 宿のオペレーション改善に活用できると考えている。お客さまからの問い合わせへの対応など生成アプリが得意な分野において、自動化、コンテンツ生成などに利用することを想定している。
――宿泊施設が一番使いやすいように開発した生成AIツールを楽天トラベルの契約施設に提供するということか。
髙野 時期は未定だが、そうできるように取り組んでいる。
――インバウンドへの取り組みはいまどうなっているのか。
髙野 楽天トラベルとして多言語サイトを提供している。インバウンド客が多言語サイトを通じて直接宿泊を予約できるようになっている。海外のサービスとの在庫連携、OEM提供と並行して行っている。インバウンドは19年比で3~4倍に伸びた。実数では台湾、韓国、香港が多い一方で、英語サイトを経由した欧米からのお客さまも伸び率が高い。
――23年のじゃらんネットはどうだったか。
宮本 やはり全国旅行支援があったし、新型コロナの5類への移行、入国制限の解除もあり、業界にとって良い環境になったと思う。生活者の旅行意欲もほぼコロナ前に戻ってきていると認識している。当社としてもじゃらんnetの予約取扱額がコロナ禍前の19年を上回る業績となった。非常に良い年となった。
宿の人手不足が深刻な状態にあるため、私たちとしても、集客支援に加えて、業務支援や人材確保に向けた取り組みを強化した。人手不足による稼働制限、物価高騰によるコスト上昇などで宿泊単価の見直しニーズが高まっている。「適正価格」が極めて重要になってきている中で、私たちがご提供してきた価格調整業務のサポートツール「レベニューアシスタント」の活用がかなり進んだ1年だった。
リクルートならではという点では、「人材課題」に一定程度踏み込むことができた1年だった。観光人材の安定確保という観点から、生産性を高めるための観光DX推進のサポートを積極的に行った。
リクルート全体が持っている資産をフル活用した取り組みも開始した。少子高齢化が進む中で、特に地方ではフルタイムで働ける人材が不足している。そのような地域であっても、例えば短時間勤務、兼業・副業など多様な働き方に着目しながら、業務を上手に切り分けて「プチ業務」とすることで、地域の内外から人材を採用することは可能だ。リクルートでは、0円で簡単に求人募集ができる採用管理サービス「Airワーク 採用管理」を提供しており、全国の自治体とも連携しながら幅広く展開している。また、社会人のインターンシップや、社外のディスカッションに参加できるサービスの「サンカク」では、副業人材を地域外から確保する取り組みを行っている。
私たちがずっと目標に掲げている「総地域消費額の増加」で、ポイントとなるのが「じゃらん版観光DX」だ。23年は栃木県那須町と包括連携協定を結ぶなど取り組み地域も増えてきている。22年以前に提携した山梨県富士吉田市、神奈川県箱根町では、宿泊予約のオンハンドデータなどを活用して先々の需要予測をしながら、人員配置を行ったり、在庫の調整を行ったりするなど、活用のフェーズが進んでおり、利用事業者の収益に貢献し始めている。
リクルート 宮本氏
――観光業界でも「スキマバイト」の導入が進んできているようだが、リクルートが自治体と連携して進めている「Airワーク 採用管理」とは具体的にどのようなサービスなのか。
宮本 人手不足をどのように解消するかという課題に対して、行政と組んで、まず宿泊業の業務フローを分解する。例えば調理業務。本来であれば1人で全部担ってもらうのがベストなのだが、地方ではフルタイムで働ける若者を確保するのがなかなか難しい。その時に少しの時間なら働けるというシニア層や主婦などに着目して、「盛り付け」など一部の業務を切り出して担当していただく。
この「プチ業務」を行政と組んで「仕事カタログ」を作り、役場で紹介していただくなどの取り組みを行っている。この仕事カタログを私たちのプロダクトである「Airワーク 採用管理」のプラットフォームに載せることでデジタル化し、さらに広範な人材募集につなげている。
――23年の一休はどうだったか。
榊 全く皆さんと同意見で、23年は業界全体にとって良い年だったと思う。当社の主要顧客は国内の高級宿泊施設、高級レストランの利用層なわけだが、このマーケットは22年度でも活況を呈していて、23年もそれが継続した。22年と23年で変化したのは、単価。特に高級領域では単価が上がった。その分、お預かりした1室1室を丁寧に販売させていただくことを心掛けている。カジュアル領域は23年になってお客さまの動きが活発化して販売客数が非常に伸びた年だった。
一休 榊氏
――カジュアル領域は、ヤフートラベルの存在が大きいのか。
榊 ヤフートラベルも一休のカジュアル領域も伸びた。楽天トラベルはインバウンドサイトを運営されている、じゃらんネットは業務支援もされている。当社は集客支援に特化して、今までやってきたことを継続して着実に取り組んでいる。
――高級宿泊施設は今、高単価でも売れている。旅館もホテルも宿泊単価が上がっている。日本にも富裕層はいるが絶対数は限られている。一方、海外富裕層のインバウンドをいかに誘致するかに行政も業界も必死に取り組んでいる。一休の英語サイトがあって高級宿泊施設が予約できれば富裕層のインバウンド客にとって便利だし、インバウンド誘客エンジンとして地域経済に貢献できると思うのだが。
榊 インバウンドはやっていない。
――他の国内OTAや大手旅行会社は宿泊在庫をグローバルOTAやマーケットプレイスなどに供給しているが、一休は。
榊 それもやっていない。インバウンドサイトをやりたいという気持ちがないわけではない。そのことが宿泊施設の支援につながるのであれば、やりたいと思う。ただ、その市場は国内の旅行会社で成功するのは非常に難しいマーケットであり、外資OTAが圧倒的に強い。外国人が日本の宿泊施設を予約するときは、自分が普段使っているOTAか普段使っている検索サービスを使う。日本国内の宿だけを扱っているOTAが、世界のマーケットで圧倒的シェアを取るのはとても難易度が高い。
他の皆さんがやっているような在庫のOEM供給も可能性としてはあるが、外資OTAの方が一般的に手数料率は高いので、OEM供給しても価格競争力は出ない。海外のプレーヤーから私たちの在庫を欲しいと言われることはあるのだが、結局どこのサイトでも扱っている商品に関しては、私たちの「手数料負け」で出しても売れない。また、私たちが最も得意とする高級旅館の場合は国内で売り切れるので、供給する意味はない。
一休はLINEヤフーのグループ会社なので、今後可能性があるとしたらネイバー(韓国最大のポータルサイトでLINEの親会社)との連携だろう。足掛かりのあるところでインバウンド向けに供給するというのであれば可能性はある。
――日本にとって韓国人インバウンドは巨大市場だ。
榊 インバウンド客はタビマエで予約する。そこは大変重要なポイントだと私たちは考えている。
――外資OTAは旅行会社ではない。日本の旅行業法の枠組みとは関係のない形でビジネスを行っているマーケットプレイスだ。OEM供給の客室がさまざまなサイトで露出していて、1次卸しの出所が不明、客室のトレーサビリティがきかない状態が日常化していて、トラブルが絶えない。一休が優先的に供給を受けている高級旅館の客室がそのような流通に乗ってしまうと、一休の信用問題にもつながりかねないという気もするが。
榊 海外OTAは完全にテクノロジードリブンの会社になっていて、自社の在庫か他社の在庫か全く分からないが、最安を売るといったようなモードに入っている。日本だけが少し違う進化の仕方をしている。あの競争に入っていくのはちょっと難しいと考えている。当社としては、インバウンドに関しては今後、レストラン(一休レストラン)の一本勝負でやっていこうと考えている。なぜかというと、レストランは基本的に着地型で予約をするからだ。
――一休の高級レストラン予約サイトである「一休レストラン」を英語化さえすれば、十分勝算があると。
榊 英語のみでなく多言語化で予約できるようにしたい。実は高級ホテルのコンシェルジュの皆さんからも強い要望をいただいている。高級ホテルには大変なセレブが宿泊する。そしてコンシェルジュは「ミシュラン星付きのこことここの和食を予約しておいて」という依頼を受けて、和食、和食と予約するわけだが、セレブ客は初日に和食を食べた後、やっぱり明日はイタリアンに変えてほしいなどとおっしゃったりする。ホテルが直接電話予約しているので、ホテルがキャンセル料を支払うことになったりもする。信頼のできるグルメ予約サイトがあれば、「ここで予約してください」とご案内できるのですと高級ホテルのコンシェルジュの皆さんがおっしゃる。だから多言語化が必要なのだ。
――一休レストランを多言語するということか。
榊 一休レストランの多言語化に近いのだが、多言語でレストラン予約ができるシステムを高級レストランのサイトに提供するイメージだ。そのようなサービスで独占的なプラットフォームはまだ存在しない。高級レストランでも手書きノートの予約台帳を使っていたりする。そこをデジタル化すれば、レストランのDX化、経営支援にもつながる。そして外国人の予約を効率よく受けられるサービスとなる。インバウンドに関しては、私たちはこのレストラン予約サービスで日本の観光業界に貢献していきたい。
――23年のJTBはどうだったか。
池口 23年は国内旅行に関しては、マーケットは確実に明るい方向に動いた。JTBホームページとるるぶトラベルを自販サイトと呼んでいるが、例えばJTBホームページでは国内ツアーが19年比で5倍程度まで伸びた。一方で海外旅行はさまざまな要因から非常に厳しい状況で、19年実績の3~4割程度にとどまっている。FITの航空券とホテルは回復し、19年実績を大きく超え始めているが、ツアー系がまだ伸びがない。
JTB池口氏
――円安要因もあり、海外旅行はコロナ前と比べてかなりの高額商品になってしまった。
池口 国内ホテル同様に海外ホテルも単価が上がっている。19年当時と同様のレートでツアーを提供するのはなかなか難しい状況だ。海外旅行の回復にはもう少し時間がかかりそうだ。
JTBホームページでは、国内ツアー販売に注力してきた。宿泊をご予約されようとしているお客さまに「ツアーはいかがでしょうか」とおすすめする形でレコメンドを開始してきた。
――宿泊予約客に対して航空券や鉄道もつけてダイナミックパッケージ(DP)にするとお得になりますよといったプロモーションか。
池口 そうだ。JRとの組み合わせのDPツアーが特に伸びている。
――JTBらしい取り組みだ。
池口 インバウンドは19年を大きく上回った。22年10月の入国規制の緩和以降、全体の販売額が大きく伸び、好調に推移した。自社サイトであるJAPANiCAN.com(ジャパニカン)でも、提携サイトであるAgoda(アゴダ)、Trip.com(トリップ・ドットコム)でも同様の傾向と想定している。
JTBには店舗やコールセンターがあり、社員が旅行相談を受けるという強みがある。来店客の4割は事前にJTBホームページを見てからご来店いただいているというデータもある。コールセンターについても電話をいただくお客さまの6割はJTBホームページを見ながらであることも分かっている。この動きをしっかりと押さえていきたい。
――なぜウェブを見た後にわざわざ来店する必要があるのか。来店客はシニア層か。
池口 来店する理由はさまざま。若い方も多い。一例としては、コロナ禍中は海外旅行に出かけられなかったので、以前と同じように旅行ができるか不安に思い、相談に来店される方々や、店舗で話を聞いて不安を払拭したいと思って来店される方々等。支払いのニーズもある。参加者それぞれで支払いたい場合や、永年勤続表彰で会社からもらったJTB旅行券で支払いたいなどの理由がある。
コールセンターにおいては、スマホで試験運用をしていることがある。ハワイツアーの申し込みページにコールセンターへのお電話をおつなぎする導線をつけた。オンライン予約に慣れていない方が操作に迷ったり、旅行内容を相談したい時にボタンをタップするとコールセンターにつながり、電話予約サポートが受けられるようになっている。
――11月にTrip.comと合弁で「JTB Inbound Trip(JTBインバウンドトリップ)」を設立した。具体的に何をやるのか。
池口 宿泊施設や地域・自治体などを対象に、主に中国を中心とするアジア地域からのお客さま拡大と、訪日インバウンド需要拡大に付随する各種課題を解決することを目的に設立した会社だ。
――Trip.comに在庫を提供すれば済む話なのではないか。
池口 JTBは47都道府県に店舗、営業拠点を持っており、全国の自治体からインバウンド誘致に関するさまざまなご相談も受けている。特に中国人インバウンドについては、圧倒的な力を持つTrip.comと連携して、中国国内に対してプロモーションをかけることが最も有効な手段の一つとなる。Trip.comとの協業により、中国を中心としたアジア地域からの訪日インバウンド旅行者と宿泊施設のニーズマッチングや、宿泊施設・観光施設の販売網拡大に寄与していく。誘客に向けたコンサルティングや仕入コントロールによる観光需要集中の緩和、平準化にも貢献していく。
――24年に楽天トラベルは何をやるか。
髙野 グローバルビジネスを大きく伸ばしたい。具体的には、インバウンドによる宿泊施設様へのご送客を2倍に増やしたい。榊さんがおっしゃる通り、旅行客は発地で予約をする。私たちは日本人旅行者の海外への送客も行っている。国内の宿泊施設様との関係構築、維持に加えて、各国の宿泊施設様との関係性も構築、拡大中だ。楽天の公用語は英語で、エンジニアの半数以上は外国人。多言語でのサービスを展開しやすい環境にある。グローバル市場のハードルは確かに高いが、日の丸OTAで1社くらいは、その領域で一生懸命に取り組んでも良いのではないかと考えている。
また、サステナビリティへの取り組みは引き続き強化していきたい。宿泊施設が行っているサステナビリティへの取り組みを項目ごとに整理して楽天トラベル上で紹介しているのだが、さらに積極的に推進する。
――先進国のインバウンド客に対しては重要かもしれない。
髙野 環境に対する意識の高い先進国の方や若い方はストーリーを非常に重視する。サステナブルツーリズムにつながるストーリーがあり、それに共感できることが需要で、それがコンバージョンにもつながる。楽天トラベルの多言語プラットフォームを通じて、日本の宿泊施設の皆さまがもつそれぞれのストーリーを伝えることができるように努力していきたい。
――24年のじゃらんネットは。
宮本 24年も引き続き、旅行を通じた総地域消費額の増加に注力していきたい。じゃらんは「地域を共に創る」というスローガンも掲げている。具体的な取り組み内容としては、地域の食材をグルメに変えて消費促進をしていく、観光コンテンツ化していく「ご当地グルメ」の開発。また、ストーリーを構成することで、点である観光スポットだけでなくその周辺地域も周遊してもらうことを目指す「ご当地体験」の造成。この二つを複数の地域の皆さまと共に引き続き取り組んでいく。
宿や地域の人手不足は、大きな課題なので、リクルートオールでのソリューションのご提供体制を整えていくつもりだ。
――リクルートグループは人材の派遣も紹介も両方やっているのか。人材不足で悲鳴を上げている宿泊施設からの期待は大きいのではないか。
宮本 そのご期待の声は、感じているし、届いている。七つの事業会社に分かれていたリクルートは3年前に1社に再統合され、事業間の協業は以前よりもやりやすくなった。コア事業の一つであるHR(人材)ソリューションでは、全国の宿泊施設のお力になれるようにしていきたい。
――24年の一休は。
榊 強みの一つであるデータサイエンスの活用はさらに進める。検索したユーザーにどういう商品を提示するか、そのパーソナライズを、チャットGPTも含めたAIの活用などで一層強化していく。それから一休が所属するLINEヤフーグループの顧客アセットの活用。ヤフーのユーザーは年配者が多かったが、LINEユーザーはほぼ日本人全てで、若年層も使っている。今後は若年層にもプロモーションがかけられるようになる。特にカジュアル領域では強みとなるはずだ。
――24年のJTBは。
池口 サイトのUI(ユーザーインターフェース)改善は今まで通り地道に継続していく。宿泊施設からお預かりしている貴重な在庫を宿泊単品でも募集型企画旅行でもユーザーに対してより魅力的に伝えていきたい。
――るるぶトラベルの状況はどうか。JTBホームページと競合はしないのか。
池口 19年比で2倍程度の数字は達成できているが、さらに伸ばさなければならないと思っている。JTBホームぺージと重なるユーザーは10%以下であり、JTBホームぺージで取り切れていない層に一定程度ご利用いただけているといったイメージだ。
――23年はどこに旅行したか。あるいは何を楽しんだか。
髙野 ヴィッセル神戸のJ1優勝がかかった試合を応援するために神戸に行った。楽天を創業した三木谷がチームを引き継いでから20年目での初優勝だった。チームは1995年の阪神淡路大震災の時に創設され、さまざまな困難に直面した。何事も諦めずに努力すれば大成できるという学びと感動を味わうことができた。
――東北楽天ゴールデンイーグルスもそうですが、地域に元気を与え、被災地復興を勇気づけた存在ですね。
宮本 一昨年から釣りを始めて、それは継続している。普通に旅行できる環境にもなったため、冬は北海道、群馬、長野でスキー、夏は沖縄と軽井沢に行った。
――実にじゃらんらしい。若いユーザー目線に立っていますね(笑い)。
榊 仕事では国内のあちこちに行ったが、プライべートでは毎週長野県の東御市あるワイン学校に通っていた。ワイン栽培と醸造を教える学校だ。いま八ヶ岳と東京の2地点居住で生活しているのだが、4月にはぶどうの苗を植える。将来的にはワイナリーのオーナーになりたいと思っている。
――ワイナリーで宿泊を始めてもグローバル民泊サイトで売ったリせずに、高級宿泊施設としての販売をお願いします(笑い)。
池口 プライベートな旅行では毎年訪れている伊勢に加えて京都に行った。日本人の動きだけでなく、訪日客の動きも実際に見ることができた。
――実にJTBらしいコースですね。奈良にも行ったら完璧でしたね(笑い)。
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