【2024新春特集】女将座談会 望雲 × 富士レークホテル × 美湾荘 × むさし


(写真左から)望雲黒岩さん、富士レークホテル井出さん、美湾荘多田さん、むさし沼田さん

旅館文化の継承、発展へ

 温泉旅館の顔として活躍する女将4人にご参加いただき、恒例の「新春女将座談会」を開催。女将としての苦労や悩み、またオフの過ごし方などを語っていただきました。国内旅行需要が回復しつつあり、日本人だけでなく、訪日外国人客も含め、各地の旅館・ホテルには宿泊客が戻ってきました。そうした状況でもあって、座談会は女将の皆さんの笑顔があふれ、和やかな雰囲気の中で話もはずみました。 (座談会は観光経済新聞社本社で開催)

 

 ――(司会・編集部 板津昌義)まずは自館の特徴やセールスポイントをお聞かせください。

 黒岩 望雲は、新築棟の建設と改修工事で、10月よりお休みをしております。休館になる前までは、平日でも高い稼働率でした。これも、草津温泉に多くのお客さまがいらしていただいているおかげだと感謝しております。

 草津温泉は、町長さんをリーダーとして、質の高いまちづくりが推進されています。新しい施設や名所がどんどん増えますので、お客さまは飽きることなく、町内散策を楽しむことができます。草津町は観光業1本で支えられている町です。町内では旅館や商店の改修や新築が盛んに行われ、民間も美しいまちづくりに積極的です。

 望雲は、草津温泉では中規模の和風旅館です。町内2カ所の源泉から泉質の違う温泉を引き、大浴場が三つあります。高温、強酸性の良質な温泉が豊富にあるのが草津温泉の強みです。建設中の新築棟では、温泉をかけ流しで堪能できるお風呂を、各部屋に完備いたします。さらに細部にわたり趣向を凝らした演出を計画しております。

黒岩さん

 

 井出 富士レークホテルは、目の前が河口湖、背後には富士山という良い立地で経営しています。昭和7年に創業し、今年で91周年になります。25年ほど前からユニバーサルデザインに取り組みまして、全70室の中の23室がバリアフリールームです。

 さらに「富士レークホテル リゾート&ヴィレッジ」というリゾート化構想を立てて、お客さまの喜びの選択肢を増やそうとしています。5年前にはフランス人シェフを招き、本格フランス料理レストランをオープンし、22年にはホテルの前に「パンダニエル」というパン屋もオープンしました。また、自宅が江戸時代の造り酒屋の分家の屋敷で、204年の歳月がたちまして、その家を維持していくために1棟貸しホテルとして改装し、23年9月30日にオープンしました。新しいリゾートでの楽しみの一つとして加えていきたいと思っております。その代表を私が仰せつかりまして、今、ワクワクしながら毎日を過ごしているところです。

井出さん

 

 多田 創業から218年という和倉温泉の中では最も古い歴史がある旅館です。私は8代目です。古いということはどこの宿も持てない良さではあるのですが、うちの一番の特徴は運営の仕方にあります。私が「未来の未来に出る」という考え方でやっていまして、いち早くDX化も進めてきました。補助金が出る前に始めたので、補助金の恩恵はあまり受けられていないのですが、ただ「時は金なり」で早く行った方が絶対にいい。世の中が動く前にそういうことに取り組み、非常に最先端を行けているという自負があります。

 素泊まりのお客さまもいれば、露天風呂付きの高い客室に泊まる方もいて価格帯はさまざまなのですが、「どのお客さまにも響くおもてなし」を心掛けております。働く面では従業員は地元の方を多く採用しております。今、お休みを増やすなど働きやすい環境を作っていっている途中です。地元の力でなるべくやっていき、地域の経済を回していくのが私の目指すところです。

多田さん

 

 沼田 和歌山県の南方、白浜温泉は日本の三古湯とも言われていて歴史もあり、また県下には世界遺産の熊野古道や高野山など景勝地もたくさんあります。実は白浜町には「アドベンチャーワールド」というテーマパークがあって、パンダの町なんですね。なので、非常に家族連れの多い温泉地です。

 当館は白良浜という白い砂浜のビーチが目の前にあるところの和風旅館です。今まで町内にもたくさん和風旅館がありましたが、リゾートモデル化がだんだんと進み、和風旅館として残っているのが当館のみとなりました。お部屋数は148ルームあります。温泉の源泉が二つあり、お越しいただいたお客さまには大変喜ばれております。

 施設は2棟しかなく、一つは昔からある昭和タイプのお部屋がある棟。もう一つは平成元年以降に改装しまして17階建ての棟です。リーズナブルなお部屋や高額な料金で景色を楽しめるお部屋など、一つの館の中に料金帯がいくつかに分かれています。

沼田さん

 

 ――悩み事とか日々心がけていることなどはありますか。

 井出 当館は河口湖の中では比較的大きい方の宿で、コロナ禍前まではバンケットホールも大宴会場もあり、団体旅行だけでなく、地元の宴会や結婚式、法事関係の食事会なども受けておりました。しかし、コロナ禍の3年半で、それが従業員にとって本当に良いことなのか見直す機会を得たわけです。従業員が幸せでなければお客さまへの笑顔は保てないと考え、年間休日を105日に増やすことから始め、労働時間を法定労働時間以内に収めるように努力しております。そうしますと今までのように1泊2食で夜と朝の食事を出した中で昼も宴会をとるのは無理があったと気がつき、昼の宴会や宴会型の宿泊はもう受けられないという判断に至りました。

 さらにコロナ禍において、お布団を敷く団体型の部屋をベッドを入れた個人型の部屋に改装しました。夕食は今まで和食コースが主でしたが、それでは人材が足りないということになり、料理長が英断して、夕食にもビュッフェを導入しました。また、限られた人員での運営の工夫として、客室セット、例えばアメニティやお茶菓子などをほぼゼロセットにし、セット業務の手間を省き、その業務の人材も表に出て、とにかくお客さまへの接待を厚くするようにいたしました。

 今、9割稼働の状態がずっと続いているのですが、それでも何とか運営できているのは思い切った改革をしたからだと思っています。しかし、改革が全てうまくいっているわけではありませんので、さらにどう改善していこうかと日々悩んでおります。

 多田 悩み事はないんです。仕事はいろいろありますが、やらなければならないので普通にやっているという感覚です。それは今の時代だけではなく、その時代時代でうちの母が壁を乗り越えてきたと思うんですね。ピンチはチャンスでしかないと思っていまして、コロナ禍になった時も別に驚きませんでした。世界全部で一緒だから何とかなると思いました。まず自分が動じずに楽しんで生きている姿を見せる、それで社員が安心するし、自分もそれでパニックにならなくていいので、楽しむことを常に考えて仕事につなげていければいいなと思ってやっています。

 働き方もどんどん変わってきていますが、皆さん仕事のために生きているのではなくて、生活のために仕事をしているので、生活が豊かになるような働き方をするために休みも増やしたいです。実は旅館業は、特に北陸地方は冬場にお客さまが少なくなるので、夏に稼いだお金を冬に食いつぶす業態とも言われております。今はまだできないですけれども、24年か25年ぐらいには365日の変形労働制にして、1月は正月と金曜、土曜以外は働かないという形にしたいと考えております。光熱費などランニングのお金がかかるので、暇な時は毎週4連休や3連休を作って施設を止めて休む。毎週連休があるなんてこの業界ではありえないことなので、それをいち早く先に、地域でも先にやりたい。私は、いいなと思ったことは失敗してもいいからやってみたいという気持ちがあります。なので、やってみたいことが多過ぎるのが私の悩みかもしれません。

 沼田 今一番の悩みは、働き方改革です。いろいろと改善してきて、客室や清掃の部署などは8日、9日の公休がきちんと取れるようになってきていますが、一番難しいのは調理場ですね。調理場は、そのスタッフが欠けてしまうと誰かがその仕事を補わなければならない。全ての部署で中抜け勤務を廃止してシフト制にしたのですけれども、それをすると調理さんは休めないという現場からの声があって、11月から調理さんだけは中抜け勤務を復活させました。新しいやり方をすると、前のやり方の方が休めたと言われてしまい、元に戻す、という行ったり来たりを繰り返しています。レストランもバイキングだけにしたのですが、会席をまた復活させました。フロントから離れた客室のお客さまの方にはアメニティの設置もお呈茶も行わずに、各フロアにフリードリンクカフェを置いて、そこから飲んでくださいという形にしています。従業員がやることをとにかく減らして、玄関でお客さまを迎えたり、お見送りをしたりする体制をしっかりと作り上げました。

 今は働いているスタッフの充実感、満足度を高めるのが一番重要です。スタッフの人たちが満足できないとお客さまへの接客に影響してしまうと実感しています。

 あと社長は今まで表立って現場に出ることは何一つなかったのですが、ほかに車の免許を持っている人がいないので、社長が駐車場までのスタッフの送迎を車で行ったりもしています。そんなようなことをしながら私も含め総出で今は頑張っている状態です。

 黒岩 皆さんのお話を伺っておりましたら、いろいろと工夫され、突き進んでいて、うらやましくなりました。

 従業員さんの労働の効率化や労働時間、有給休暇の取得については、改善の必要をいつも感じています。長期休館のおかげで、今までは取りづらかった有給休暇を利用して、実家に帰省をしたり、旅行に出かけたり、従業員さんは毎日を楽しんでいるようです。旅館が再開した折には、リフレッシュしたみんなと一緒に、再び働けることが楽しみです。

 現在、草津町でも外国人労働者が増加しています。当館でも外国人の従業員のみなさんには、真面目に働いていただき、非常に戦力になっています。先日、長女がネパールの空港で、若いネパールの女性を、たくさんの家族が泣きながら見送っているシーンに遭遇したそうです。ネパールの人たちがどんな思いで海外に働きに行くのか、見送る家族の人たちがどれほど心配しているのか、想像しただけで胸が熱くなります。日本で頑張って働いている外国人の皆さんに幸せになってもらえるように、労働環境や生活環境をさらに整えていく必要を感じます。

 いつも私が心がけていることは、従業員さんが、老後を迎えて自分の人生を振り返ってみた時に、「望雲で働いて良かった」と言ってもらえるような職場にしたいということです。従業員さんの人生の中で、貴重な時間を私どもの旅館で費やしてもらっているのですから、充実した日々を過ごしてほしいです。私たち経営者も、職場の改善のために努力を惜しまずに頑張ります。

 

 ――旅館や女将として何か目指していることはありますか。

 多田 旅館は365日24時間営業というものをコンビニがやる前からやっています。しかも、女性活躍と言われる前から女性しか活躍していない(笑い)など、非常に先端的なことを元からやっているんです。しかし、業界的に少し弱いというか、お客さまが一番で、言われたことは何でもしなければいけないという変な文化があります。ホテルはお客さまの要望を断っても問題ないのに旅館は断れない。そういう悪い風潮はなくなった方がいい。私はまだひよっ子なので、生きている間にみんなが憧れるような職種にしたいという展望を思っています。

 人手不足と言いますが、これは一時期だけのことで、AIが発展していけばコールセンター業務や事務作業などは全部AIにかわって、人がいらなくなるのではないでしょうか。一方、人間しかできない力仕事や技術職などの仕事は残るし、旅館のおもてなしの仕事も絶対に残ると思います。今後、温泉地がさらに栄えていくためにも、働く人が来てもらえるよう旅館の地位を向上していきたいと思っています。

 沼田 今、多田さんの方でお話があったように、旅館の地位向上は目指したいですね。この旅館で働いているのは素晴らしいことだと誰もが思える場所にしたいとすごく思っています。私も夫も「おはよう」とか「もう帰るの」などと声をかけて、従業員と誰とでも気軽に話せる環境を作りたいと思っています。今まで調理場の人たちだけが孤立していて、話をする場を設けるのが難しかったのですが、今回、調理さん1人1人と面談をして、こうしたいああしたいというそれぞれの思いを聞いたので、これからは上の人の言うことを絶対聞かなければいけないというのはいいのだけれども、それを押し付けるような調理場の世界をなんとか変えたいというのが今、緊急の目標です。

 あと、今は地域がもう一つまとまっていないので、地域の皆さんと一緒に白浜という場所をもっと全国区にしていきたいと思っています。草津温泉は全国の人が知っています。白浜も草津に追いつきたいので、まずは自分たちの館の人間が楽しく過ごせるライフワークを1ランク2ランク上げていく。そして、女将さんとしては地域の方々と一緒に手をつないで何かやっていきたいというのが今の目標ですね。

 黒岩 草津温泉の女将の会「湯の華会」は、とてもまとまっています。草津温泉旅館協同組合に加盟している旅館が約100軒ありますが、そのうちのおおよそ半数のお宿の女将さんたちが湯の華会に所属しています。2年ほど前から「湯の華塾」という勉強会がスタートしました。月に1度のペースで開催しています。テーマはさまざまですが、例えば「草津の歴史」や「温泉と火山」をテーマに、大学の先生をお迎えすることもあります。会員の女将さんや町民の方に講師をお願いすることもあります。押し花教室や断捨離講習会、労務管理の学習等々、多岐にわたり学んでいます。女将さんたちが一堂に会して同じことを学んでいくことは、意義深いと実感しています。

 塾の後のおしゃべりタイムでは、それぞれの旅館の悩みや子育てのこと、これからの草津温泉の課題等々、考えさせられる話題ばかりです。

 このような活動を通して、女将同士が切磋琢磨し、結束を深め、その延長として、草津温泉の旅館全体の向上にもつながっていると思います。

 みなさんの地域の女将さんと、草津温泉の湯の華会で交流会はいかがでしょうか(笑)。

 井出 旅館の中身の充実を図ることも重要ですが、いずれは旅館に1泊2食で過ごすのではなく、地域をまるごと楽しんでもらえる滞在型の施設にしていきたいと思っています。河口湖、あるいは富士北麓は面白い地域でして、富士山の魅力にひきつけられていろいろな方が移住してくるんですね。そういう外から来た方は地元の人よりも富士山の文化や自然などについて詳しい人も多いので、連携を取っていき、外から来た方の目線でこの地域の魅力を改めて再発見した中で、2泊3泊で楽しめる過ごし方をお客さまにご提案できるような形に持っていければなと思っております。

 それと先ほど黒岩さんがおっしゃったように、旅館の女将さんや地域の仲間と連携し、交流も深めていきたいと思っています。
また、逆の考え方にはなるのですけれども、何もしないぜいたくというのがあるのではないかと思っています。温泉に入ってお料理を召し上がっていただいて、ただゆったりと過ごす、そういった中で心身ともに元気になって帰っていっていただけるようなことも提案していきたいと思っています。

 ――プライベート時間はどのように過ごされていますか。

 沼田 当館では社内のメンテナンスも兼ねて年間30日の休館日を設けています。私も休む予定にしているのですが、どうしても会社に行かないといけなかったり、お客さんが来たりすることもあるので、ちゃんとしたお休みをもらえていないのです。社長の方は自分の時間をすごく楽しんでいて、冬になるとスキーに行きたいなどと言うので私も一緒に行くのですが、なぜか私は行った先のホテルが気になってしょうがないんです。もうずっとあれ見てこれ見てと。休んでいるのか分からないような過ごし方をしています。

 普段、白浜にいるときの休みは、もうちょっと寝かせてくださいみたいな状態で過ごしています。あとは娘と息子の2人の子供がいるのですが、ちょっと一緒においしいご飯食べに行こうと言って出かけたりとかしています。あとは同じ女将さん仲間で勉強会を兼ねてちょっと旅行に行って、前泊、後泊の時に全国いろいろなところを回って楽しんでいます。

 黒岩 私はあまり旅行に行くことがなかったので、白浜温泉も富士河口湖温泉も行ったことがありません。今日は皆さんとお会いすることができましたので、いつか皆さんのホテルに泊まりに行きたいです。

 還暦を過ぎてから、すべての都道府県を制覇しようと決意し、計画的に旅行に行くということを心がけています。昨年は長女、次女と一緒に、「鵜飼」や「風の盆」に初めて行きました。これからも日本の伝統文化の素晴らしさを体験できる旅に出かけたいです。
夕食を済ませてウオーキングに出かけます。どうして夜に? 草津温泉の夜は、いろいろな観光名所がライティングされていて、とてもステキなのです。「草津温泉の住人で本当に良かった」と、歩きながらつぶやいてしまいます。

 湯の華会にはサークル活動「湯の華あるこう会」があり、女将さんだけではなく、山歩きが好きな仲間が所属しています。芳ヶ平、平兵衞池、野反湖など自然の宝庫に囲まれています。

 井出 オフと言えるようなオフはないんです。先ほど多田さんがおっしゃっていたように悩んでいられないのが旅館業というのは本当にその通りです。私は、あんなことを言ってお客さまを傷つけてしまったかなとか細かいことにくよくよするタイプなんですけど、次の仕事が待っているとくよくよしていられないじゃないですか。私は忙しい仕事に就いていて良かったなと思います。そうでなかったら何日も失敗を引きずってしまう。引きずってたらまた次の失敗をしでかしますから、もう切り替えるしかなくって。仕事があるというのはありがたいです。

 私は息子1人しか子供がいなくて、その息子は社会の仕組みを知りたいという自分の考えから金融機関に就職をして今2年目なんです。その息子が「納得して戻りたいので、あと10年頑張ってくれ」と言っています。たまに会う息子と夫との家族3人の時間も、私にとってはストレス解消のひと時です。

 多田 皆さんのお話からすればくだらない話なんですが、私は昼に1人で飲みに行って、飲みながら考えるのが好きです。うちの旅館では素泊まりをいっぱい受けているのですが、それは街にお金を落としてもらいたいから。旅館はお客さまを自分の施設に閉じ込めて全部消費させるという文化があるのですが、旅館と街が隔絶しているのは良くないと思っています。私は和倉で生まれて育ってきましたから、自分の同級生のお母さんが店をやっていたりするので、スナックなどの飲み屋やすし屋、御飯屋などにも気軽に入っています。そこで出会った近所のおじさんなどとどうでもいい会話もしたりして、そういう時間でひらめいたことなどを会社の仕事に生かしています。

 あとは会社の倉庫などに新品で開けていないダンボール箱や、これはあっちに回したら使えるなというようなものなど、埋もれてる物品がいっぱいあるんです。頑張る日は休みでも会社に行って、そういう宝探しをしています。

 

 ――24年はこんなことをしたいという抱負をお聞かせください。

 黒岩 望雲のすべての施設のオープンは、24年12月の予定です。お掃除を徹底した居心地の良いお部屋、厳選した食材を手間をかけて調理したお料理、そして良質な、豊富な湯量の温泉がかけ流しのお風呂自慢の旅館として、高い評価がいただけるように努力していきたいです。

 草津温泉は観光経済新聞社の「にっぽんの温泉100選」で、毎年日本一をいただいております。関係者の皆さんから「草津温泉は強い」と思われていますが、その日本一は私たち草津町民の日々の目標であり誇りです。町長さんを先頭に、これからも町民がひとつとなり「チーム草津」で草津温泉を盛り上げていきたいと思います。

 井出 昭和30年代に建てた古い中央棟の解体工事を12月から2月にかけて行っています。西館、東館とありまして、真ん中のかなりの大きい部分が更地になるわけですが、今後、その更地で何をしていくかまだ決まっていません。ただ私としては、私たちの敷地は湖に面した部分を所有しておりますので、水辺の楽しみを提供できたらと考えています。これは次世代にも受け継いでいってもらいたいことで、24年は新たなスタートの年だと思っております。

 多田 コロナ禍になって初めて何カ月間も休館することになったのですが、そのおかげでお客さんが来なくても維持するだけでこんなにお金がかかるとか、今まで見えてこなかった財務的ないろいろなものがすごく明らかになりました。それで無駄なことをやめましたし、休館日を設けるのも大事だということも分かりました。それを生かしながらってやってきたのが23年だったのですが、24年はこれまでいろいろ考えてきたものを吐き出すというような自分の力を発揮できる年だと思っています。お客さまのあり方も変わってきていますし、コロナによってガラッと変わった世の中を自力で生きていくために頑張りたいと思います。

 沼田 コロナ禍で借金も増えまして、23年度までは赤字なんです。24年度からは黒字に変えていかないといけない。ですから24年の目標はしっかりと売り上げを出すために頑張る年だと思っています。

 それと、和歌山県というのは全国の中でも観光県としての知名度はまだまだです。コロナ禍前でも45万人程度のインバウンドのお客さまでした。その和歌山県に白浜温泉という場所があって、ビーチがあって、パンダもいてということをご存じでない方が大多数だと思いますので、もっとメディアへの露出を増やすなどして、とにかく全国区になっていくということが私たちの目標だと思っています。

 ――皆さま長時間の座談会、ありがとうございました。

(写真左から)望雲黒岩さん、富士レークホテル井出さん、美湾荘多田さん、むさし沼田さん

 

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