【2025年観光業界のキーワード】「大阪・関西万博」 記者・小林茉莉


 2024年の観光業界はインバウンドを中心に活発な動きを見せた。不安要素は挙げればきりがないが、「巳年(へびどし)」は脱皮をするヘビのイメージから、復活と再生を意味し、「巳」を「実」にかけて、実を結ぶ年ともいわれるようだ。四つのキーワード(宿泊税、人手不足、大阪・関西万博、観光立国)を取り上げ、独断と偏見で見通した。

「共に創る」意識で盛り上げよう

2025年国際博覧会、通称「大阪・関西万博」の開催までいよいよ4カ月を切った。昨年には世界最大級の木造建築物「大屋根リング」も完成し、夜間のライトアップの試験点灯などが行われた。

 リングの周辺にはEXPOホールや大阪府・市によるパビリオン、国内企業によるパビリオンが個性的な外観を現し、展示準備に入っている。

 博覧会協会の発表によると、12月初めの段階で、入場券約740万枚が販売済み。旅行会社各社も万博のチケット販売をスタートした。一部の旅行会社では、既に万博の入場・見学と、70年万博の会場であった万博記念公園(大阪府吹田市)の見学を組み合わせたツアーを販売している。

 では宿泊業界はどうだろうか。宿泊施設に聞くと、足元の大阪では、万博期間中の宿泊客の増加に向けて予約の調整なども行われているようだが、京都、神戸をはじめ、関西各地の宿泊施設では、目立った予約の動きがない中で、取り立てて万博に連動した動きはとりにくいというのが実情のようだ。

 万博会場へのバス輸送の影響による、近畿一円でのバス不足とそれによる団体旅行への影響や、万博期間中の人手不足などの懸念も聞く。
その一方で、宿泊客の増加といった直接的なプラス効果以上に、万博による観光施策のブラッシュアップを期待する声もある。

 実際、万博というナショナルイベントを控えて、周辺自治体も連動した取り組みへの意欲が高まっている。兵庫県、鳥取県などは体験メニューの整備と情報発信に注力。四国の高知県なども、万博を契機にした誘客に向け、新たなキャンペーンを仕掛ける。京都府も食や川をテーマにしたイベントや、万博に関連した取り組みの認定などを行っている。奈良県もオープンファクトリーなどモノづくりに焦点を当てた取り組みを予定する。

 大阪・関西万博が、新たな取り組みのきっかけになっているのは確かだ。宿泊施設も、万博来場者向けの特典サービスの展開や体験メニューの拡充など、手近なところからできる「共創」はあるのではないか。

 成功といわれる70年万博も、聞けば直前まで、資材の高騰や建築の遅れなど批判も多かったとか。「全貌が見えない」との声も聞くが、イベントカレンダーなども公表されている。観光業界の一員として、万博を共に創る意識で考えてみてはどうだろうか。

 
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