「第19回 国内観光活性化フォーラムin東京」が、小池百合子都知事をはじめ、皆さまの絶大なるお力添えとご熱意を賜り、初めて東京の地において華々しく開催されますことを、たいへん大きな喜びに感じております。また、全国各地でご活躍されるANTA会員の皆さま、並びに観光振興にご尽力される自治体や観光関係の皆さまが一堂に会してご参集いただきましたことに、厚く御礼を申し上げます。
当協会主催の国内観光活性化フォーラムは、47支部組織の緊密な連携のもと、会員旅行業者5400社の結束強化を図るとともに、地域に根ざして旅行業を営む会員の特長を生かし、開催地の観光振興に貢献することを最大のテーマとしております。
これまで全国各地で開催されてきた本フォーラムは、地域の新たな魅力を発掘し、着地型旅行商品の創出に取り組み、観光振興に貢献する重要な場として、その目的を果たしてまいりました。そして今回、日本の玄関口であり、世界中から注目を集める首都・東京において、本フォーラムを開催することは、わが国の観光産業にとって、大きな転換点になるであろうと考えます。
東京は、歴史文化、最新のエンターテイメント、バラエティに富むグルメ、豊かな自然など、多種多様な顔をあわせ持つ、伝統と革新が見事に融和した世界でも類を見ない巨大都市です。そのような東京だからこそ、観光産業の現状を改めて認識し、今後の発展に向けたビジョンを共有する絶好の機会にもなります。観光産業の活性化は、地域経済に大きく寄与する一方で、昨今にあっては、環境問題や地域社会への影響も考慮する必要があり、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが重要な課題となっております。さらに、国際的な観光客の増加を見据えた多言語対応や異文化理解の促進、そのための人材確保や次世代の観光を担う青少年の育成なども急務を要しております。この東京を起点として地域創生にも波及し、わが国の産業全体が好循環となるような観光ビジネスモデルを構築していくことも、私たちの使命の一つであると考えております。
これまで観光産業は、新型コロナウイルスという見えない敵との戦いを長きにわたり強いられ、旅行の根幹である移動の制限、店舗や施設の休業閉鎖など、かつてない大打撃を被りました。しかし、皆さま方のたゆまぬ努力により、この未曽有の危機を乗り越え、今まさに新たな観光立国のステージへと踏み出そうとしております。
コロナ禍のような有事にあっては、観光の成立自体が困難なことを嫌というほど痛感しました。近年では、大規模な自然災害という有事がしばしば発生し、非常に心を痛めております。私が提唱する国土強じん化は、天災地変からの事前防災・減災、早急にインフラの復旧復興を成し遂げ、速やかに平時の観光回復へと導くものでもあります。世界各地で緊張の対立や戦乱が起きておりますが、観光の発展は、平時にあることが大前提であり、平和の中にのみ存在し得るものです。
そもそも「観光」という言葉は、文字どおり「光を観る」ことが由来であり、「光」とは、国や土地の風光や文化を指し、それらをよく観察すること、ひいては、他の国や土地の人々に観せる意も含まれます。ANTA会員にとって旅行業の仕事が何気ない日常であっても、私たちは、世の中を光で照らし、苦しみや悲しみを希望に変え、平和の推進にもつながる業務を担っている、その崇高な矜持(きょうじ)を忘れてはなりません。全国5400社のANTA会員が長年の経験と英知を結集すれば、さらなる躍進を遂げられる比類なき大きな力になると確信しております。会員一体のスクラムを組んで、励まし合い切磋琢磨しながら、共にまい進してまいりましょう。
結びに、東京都の観光のますますのご発展と一層の飛躍、並びにご参集の皆さまのご健勝とご隆盛を心より祈念いたしまして、私からのあいさつとさせていただきます。