ここまでベジタリアン、ヴィーガンの受け入れに関し、情報開示での受け入れについてお話ししてきましたが、ベジタリアン、ヴィーガン、それだけではありません。特に欧米豪の方々が気にされる食の多様性で聞かれることが他にもあります。
その一つ目が「NO MSG」です。MSG(Mono Sodium Glutamate)とは、グルタミン酸ナトリウムの略で、うま味調味料として多くの加工食品に使用されている化学調味料です。日本では「グルソ」とも呼ばれています。MSGは、食品衛生法第10条に基づき、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認した「指定添加物」に登録されています。また、日本はもとより欧米、国連などの権威ある機関からも安全であると認められていますが、アメリカではベビーフードにMSGの使用が禁止されています。ただ、米国では、多くの食品にNO MSGの表記が当たり前になっているので、日本に来ても大変気にする方が多いです。日本の場合は、「アミノ酸調味料」や「アミノ酸等調味料」と表記されているので、よく見てみると日本の多くの食品に使われています。
二つ目が、「NON GMO」です。GMO(Genetically Modified Organism、遺伝子組換え作物)ではない、つまり「遺伝子組み換えでない」ことを意味します。GMO Free(ジーエムオーフリー)などとも表記されます。日本では、2020年5月26日時点で、トウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネ、ワタ、アルファルファ、テンサイ、ジャガイモ、パパイヤの8作物323品種が、販売や輸入が認められているので多くの食品に使われています。もちろん、実はこれらの遺伝子組み換え(GM)作物の生産国は、米国、ブラジル、アルゼンチン、カナダ、インドなどで、これらの5カ国で世界のGM作物栽培面積の91%を占めています。しかし、その主要生産国である米国では、商品にNO GMOは当たり前という大きな矛盾が存在し、観光で訪れる日本でもGMO食品は避けたいというのです。
その他には、「グルテンフリー」です。元々は、小麦と水が結びついてできるグルテンが引き金になってセリアック病になるなど欧米ではポピュラーですが、日本や欧米では最近では、Z世代を中心にダイエット文脈でのグルテンフリーが増えてきています。
このように食の多様性の中には、まだまださまざまな目に見えない課題がたくさんあります。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)