ここからは、食の多様性対応の根本的な基本となる「SDGs(持続可能な開発目標)で持続可能性に配慮した食材の調達基準」と「食品ロスへの対応の基本的な考え方を元にした世界から求められている食の基準」についてお話ししていきたいと思います。
日本は、東京オリンピックがコロナ禍の無観客大会ということで、選手村などの限られた施設での受け入れ対応が中心だったので、「SDGs(持続可能な開発目標)で持続可能性に配慮した食材の調達基準」を広く認知する大きな機会を逃してしまいました。
東京2020大会組織委員会のポータルページに詳細は記載されていますが、「持続可能性に配慮した調達コード」を元にお話しさせていただきたいと思います。
まず最初に「持続可能性に配慮した調達コード」とは、大会の準備・運営段階の調達プロセスにおいて、大会開催のために真に必要な物品・サービスを調達していくとともに、経済合理性のみならず持続可能性にも配慮した調達を行うことを通じてその社会的責任を果たしていくべきとして、「持続可能性に配慮した調達コード 基本原則」(2016年1月)を策定している。
「持続可能性に配慮した調達コード」は、上記基本原則の下、持続可能性に関わる各分野の国際的な合意や行動規範(「持続可能な開発目標」「パリ協定」「世界人権宣言」「ILO 多国籍企業および社会政策に関する原則の三者宣言(ILO 中核的労働基準を含む)」「国連グローバル・コンパクト」「OECD 多国籍企業行動指針」「国連ビジネスと人権に関する指導原則」など)を尊重し、法令順守をはじめ、地球温暖化や資源の枯渇などの環境問題や人権・労働問題の防止、公正な事業慣行の推進や地域経済の活性化等への貢献を考慮に入れた調達を実現するための基準や運用方法等を定めています。
その上で、組織委員会は、本調達コードの順守を、サプライヤー、ライセンシーおよびサプライチェーンをはじめとする関係者との共同の取り組みとして推進するとともに、SDGsが掲げる持続可能な消費および生産の形態が確保された社会の実現に向けて、本調達コードと同様の取り組みが拡大し、デリバリーパートナーやサプライヤーを含め広く社会に持続可能性を重視する姿勢が定着するよう働きかけていくとあります。
つまりここに書かれていることが今後の持続可能な食材の国際的な調達基準ということになります。この後には、順番にお話ししていきたいと思います。
出典元:https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/special/watching/tokyo2020/games/sustainability/
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)
(観光経済新聞12月2日号掲載コラム)