【Jack高橋のユニバーサルフードとインバウンドの未来22】食のサステナブル その6 高橋敏也


 プラスチックを使わない、代替え品に変えるだけでなく、さまざまなサステナブルで遅れを取っています。その一つが紙にまつわる製品の世界認証である「FSC認証」です。FSC認証(Forest Stewardship Council、森林管理協議会)とは、木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関。その認証は、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられます。このFSCのマークが入った製品を買うことで、消費者は世界の森林保全を間接的に応援できる仕組みです。対象商品は、紙製品(コピー用紙、ティッシュペーパー、包装紙など)、木材製品(家具、建築材、文具など)、その他の製品(段ボール、パルプ製品など)となります。

 では、FSCはどれくらい認知されているかというと、2018年の調査ではイギリスの70%を筆頭に世界平均で50%の人がFSCマークをよく見る、またはたまに見ると回答しています。2020年にFSCジャパンと一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会が共同で実施した、国内のFSC認証マークの認知度は21.9%となり、3年前に実施した別の調査では18%だったことから比べると、FSC認証取得者数の増加や、FSC認証マーク付きの製品数の増加、SDGsへの関心向上を背景に、着実に認知が向上しつつあります(出典=FACジャパン)。

 事実最近では、少しずつ大手飲食チェーンやファストフード店では目にするようになりました。某世界的なハンバーガーチェーンのカップや包装パッケージには、当たり前のように、FSCミックスなどのマークが入っています。

 極端な例ですが、国際的な家具販売会社IKEAは2015年当時2億1700万冊に上るカタログ印刷をしており、世界的に見てもFSC認証紙を使ったこれまでで最大規模の印刷でした。このカタログは、67版、32カ国語、46カ国で出回り、多くの家庭に配られ、その量は、1列に並べるとおよそ4万6千キロメートル、地球1周以上にもなるといわれ、環境負荷が大きいことからFSC認証紙で印刷していたのです。もちろんこのカタログの印刷も、環境負荷の低減ということで2021年に終了してオンラインに切り替えています。

 しかし、現在もIKEA店舗のカフェで使う、莫大な量のさまざまなカトラリーは、全てFSC認証製品です。それだけではなく、IKEAにカトラリーを納入する企業は、FSC認証のCoC認証(FSCの製品を扱うサプライ認証)を持っていなければ納入できません。使うだけではなく、取り扱う上でも認証が必要となるのです。宿泊施設、飲食店などでは、多くの紙製品が使われていますが、FSC認証取得の製品が使われていますか?というと、まだまだFSC認証自体認知度が低く、FSC認証製品も少ないのが現状です。ここも世界に遅れを取っています。

 (メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)


(観光経済新聞2025年3月3日号掲載コラム)

 
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