
GFSIは、世界的に展開する食品企業が集まり、食品安全の向上と消費者の信頼強化のため、協働して食品安全マネジメント規格の承認等を行う民間団体(編集部注)
食のサステナブル以外にも日本が世界基準に遅れているのが、食品衛生管理の分野です。
日本でも改正食品衛生法が2018年の6月に可決。HACCP義務化の法令が制定され=改正食品営業法第五十条、2020年6月に法律施行となりましたが、実際には、2021年6月に猶予期間終了。完全義務化となりました。元々、このHACCP義務化に関しても、実はオリンピック開催国である日本の食の安全を求められたのが発端といわれています。コロナで東京オリンピックが延期になり、何とかカッコウがついた感じです。築地市場の豊洲移転もこれにリンクしているのです。築地市場では、閉鎖空間の施設ではないので、HACCPには対応できません。そこで、豊洲に移転して屋内施設として対応したのです。
日本は、何となく清潔なので安心と考えられていますが、これは、あくまで性善説に則った考え方で、第三者がきちんと担保しているわけではありません。
最近では、少しずつは、普及はしてきていますが、まだまだ大手食品製造メーカーが中心で、中小企業では対応が遅れています。
特に、日本の食を世界へと言っていますが、世界へ食品を輸出する場合に、HACCPは、多くの国で義務化されています。例えば一部ですが、輸出する際にHACCP認証が必要な国々は、EU=牛肉、鶏肉、水産物、水産加工品、米国=牛肉、水産物、水産加工品、カナダ=牛肉、香港=牛肉、シンガポール=牛肉、豚肉、メキシコ=牛肉、フィリピン=牛肉。
例えば、最近、アジアで人気のある沖縄の黒糖の製造会社が台湾の商社からオファーをもらいましたが、取引をする上で、まず、ハラール認証取得してほしい、HACCPを取得してほしい、取得しないと取引できない=取得していないと彼らが他の国へ売れない。この会社は、ハラール認証とHACCPを取得しました。結果、ビジネスが成立しました。そこから、ビジネスが広がり、黒糖の加工品ではなく、黒糖の原材料ニーズが上がり、さらに販売市場を広げたいということから、ヴィーガン認証も取得してほしいと言われ、取得して、さらにビジネスは拡大しました。
このことから分かるように、食のサステナブル(多様性)だけでなく、衛生管理の国際基準は当たり前のことなのです。国際基準でいうと、HACCPより上のISO22000や国際食品安全イニシアチブ(GFSI)によって承認されているFSSC22000が世界を相手にビジネスする上では、当たり前なのです。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)
GFSIは、世界的に展開する食品企業が集まり、食品安全の向上と消費者の信頼強化のため、協働して食品安全マネジメント規格の承認等を行う民間団体(編集部注)
(観光経済新聞25年3月17日号掲載コラム)