
インバウンドが急激に増える中、2024年の訪日外国人旅行者数が過去最高の3686万9900人、旅行消費額総額が前年より53・1%増の8兆1257億円、共に過去最高を更新した。さらに、政府目標である2030年の訪日外国人旅行者数6千万人、旅行消費額15兆円の達成には、食の多様性対応は大きな鍵を握ります。
旅行消費額の中身はというと、「宿泊」「飲食」「買い物」の三つの項目で全体の中で84・6%となります。この三つに含まれる「食の対応」に大きな可能性があるのです。
特に、食の禁忌49億人のうち20億人(41%)を占めるムスリムの対応が大きな割合を担います。(当協議会調査データ参照)
2024年訪日外国人旅行者数でも、上位に東南アジアのムスリムの多い国であるシンガポール69万人、インドネシア51万人、マレーシア50万人、が着実に伸びてきています。それ以外にも中東地域も2023年の10万人から16万人(伸び率160%)という数字からも分かるように、ムスリム観光客が急激に増えてきています。
ムスリム観光客の受け入れで重要な要素は、いくつかあります。まずは、食として「飲食店」「宿泊施設」「お土産」そして、礼拝となります。
よく飲食店や宿泊施設の方は、「ムスリム対応は難しい」と言われますが、実は、元々の和食や和菓子は、限りなくハラールに近いのです。
まさに、メイド・イン・ジャパンの食の本領発揮です。
それ以外にも礼拝室を商業施設や観光施設に設置することで、旅行中の昼間の礼拝ができれば観光地での滞在時間が増え、消費額が増えるのです。
「食やお土産、礼拝が整うと=滞在時間が長くなる↓消費額が上がる」のです。
成功の方程式は、ムスリム観光客やその他の食の多様性のある訪日外国人への対応に取り組むことで、競合と差別化し、付加価値を上げて、単価アップして、収益アップし新たな顧客を獲得できるのです。もちろん、ムスリムだけでなく、ヴィーガンなども同様です。食の多様性対応こそが、2030年外国人観光客6千万人、観光消費額15兆円への鍵となるのです。まずは、一歩から始めてください。
(メイドインジャパン・ハラール支援協議会理事長)
(観光経済新聞2025年4月7日号掲載コラム)