【VOICE】ウェルネスツーリズム  well f.m.ファウンダー・理事 善井 靖 氏


well f.m.ファウンダー・理事 善井 靖 氏

地方創生の取り組みに

 ウィズ・アフターコロナの世界は新しい生き方、働き方、ライフスタイルが求められる中で、ウェルネスツーリズムの推進は、地域(資源・人・コミュニティ)と直接結びつき、地域資源を「ウェルネス資源」という新しい価値として地域が協働で生み出す契機となる。ウェルネスにまつわる雇用が発生し、生産性が向上、提供するサービスの付加価値を高める高付加価値型観光でもある。また、地域の1次、2次産業企業との連携、参画により、収益の域外移転を抑制する課題解決にも通じることも地方創生として注目される。地域活性、観光地域づくりの観点からも、ウェルネスツーリズムは大型の新規投資が必要なく、持続可能性の高い地域活性、観光再生の手段であると考えられる。

 こうした背景をもとに、well f.m.一般社団法人を2022年3月に設立した。観光地域づくりの専門家、管理栄養士、温泉利用指導士、メディア運営者、大学研究者、アドベンチャーツーリズムの専門家集団で構成され、ウェルネスツーリズム研究の第一人者、琉球大学の荒川雅志教授に顧問に就任いただき、ウェルネスツーリズムによる観光地域づくりを事業の核として推進しいる。

 当法人では、国立公園・国定公園内および周辺の事業連携法人内に研究拠点を全国5カ所(沖縄、富士五湖、増富、乗鞍、佐渡ケ島)に開設し、自然・人・地域とのつながりを創るツーリズム=観光の新しい価値の創出を目指している。国立公園・国定公園内および周辺に研究拠点を置く理由として、環境省が主導する「国立公園満喫プロジェクト」に関連して事業展開を図る計画を進めている。

■中部山岳国立公園×ウェルネスツーリズム

 長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる中部山岳国立公園南部地域は、日本を代表する山岳エリアで、地域の自治体や事業者と連携し、「保護と利用の好循環」の実現と、地域活性化への貢献を目指した取り組みが進んでいる。豊富な温泉やさまざまなコンテンツを組み合わせて、新たな過ごし方の提案ができると考えられるカギの一つに「×ウェルネスツーリズム」が浮上しており、私が、2021年度から同地域のファシリテートを担当している。

 中部山岳国立公園南部地域を間にはさみ、松本市街地と高山市街地をつなぐ横断ルートは「Big Bridge(ビッグブリッジ)」と位置付けられ、多彩で上質な体験と滞在ができる魅力的な観光ルートに磨き上げていくプロジェクトが進行し、アドベンチャーツーリズムとともに、ウェルネスツーリズムを取り入れた観光地域づくりが、「世界から着目される山岳リゾートエリア」を目指して大きく進みだしている。

 

 
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