【VOICE】コロナ禍で地元を知る みなかみ町観光協会 専務理事 小野和明氏


みなかみ町観光協会 専務理事 小野和明氏

「観光地づくり」から「観光地域づくり」へ

 群馬県みなかみ町は関東の最北端に位置し、春は新緑、夏はアウトドアスポーツ、秋は紅葉、冬はウインタースポーツと、四季を通じて楽しめる大自然豊かな町です。町内には18の温泉地(みなかみ18湯)があり、遊び疲れた体をおいしい料理と泉質豊かな温泉で癒やすこともできます。また、首都圏からも新幹線で約1時間、高速道路で約2時間とアクセスも良く、年間約360万人のお客さまに来ていただいております。

 しかしながら当町においても、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、約50%の入り込み減となりました。その間、Go Toトラベル事業や群馬県民を対象とした愛郷キャンペーンなどの支援策の活用や、各事業者様の努力により何とか持ちこたえてきました。

 また、町独自の町民対象の経済対策として、国の補助金を活用し「ふるさと応援チケット泊まる・食べる商品券」を販売いたしました。これは特に多大な被害を受けた宿泊施設、飲食店に利用を限定し、1万円分の商品券を2千円で販売したものです。販売の総額は約1億4千万円となり、町内の宿泊施設、飲食店でご利用いただきました。この支援事業については、疲弊している宿泊、飲食事業を支援しようと実施した事業でありましたが、もう一つ大切な意味合いがあったと思っています。それは、町民の皆さまが町内の宿泊施設等を利用するということです。私自身にも当てはまりますが、全国有数の観光地に住んでいながら、地元の方は地元の観光地を訪れたり、旅館等に泊まるということが実は意外と少ないのです。今回このような状況下で遠方への旅行が制限される中、地元で利用できる商品券が販売されたことにより、多数の町民の方が地元の観光地を訪れ、地元の宿泊施設に泊まる機会を得ました。これにより、改めて自分が住んでいるところが素晴らしい観光地であるということを再認識することができ、故郷みなかみの観光について考えるとても良い機会につながったと考えております。

 今までは、観光関係者以外の町民の方は観光について無関係と感じる方が多かったと思います。しかし本当の観光振興はその方たちの意見や考え方が非常に大事だと思っています。ゴミや騒音、交通渋滞など観光の負の部分については、やはり地元住民の意見を聞かなければどうしても解決することができません。それら負の部分を解決することにより、はじめてみなかみ町全体での「おもてなし」が実現できるのではないかと考えています。

 これまで町の観光についての議論は観光関係者が中心となり進められていました。今後は直接観光関わることが少ない町民の方々にも入っていただき検討するべきだと思います。「観光地づくり」から「観光地域づくり」へ、今がそのチャンスだと思っています。

 
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