キャッチフレーズは「うえのテロワール」
持続可能な開発目標(SDGs)が共有され、社会への浸透が進んでいます。個々人の行動変容、企業理念の転換が求められる中、自治体においても、政策への反映が問われています。
本村では、第6次総合計画において、個々の施策をSDGsの目標体系により整理しました。
また、(1)生命・自然・営みのつながり(2)地域を担う人のつながり(3)ムラという協働の地域経営(4)ソトとのつながり(5)未来へのつながり―という五つのつながりをもとに基本理念を定めました。
これは、ローカルSDGs、あるいは上野村版地域循環共生圏を表したものであり、つながりの中で、誰もが幸せに暮らせるサステナブルコミュニティ、「サスティな村」を目指すとしたものです。
そもそも山村社会は、自然との共生や協働の暮らしが根づいており、正確には、目指すのではなく、サスティな村の復活というべきかもしれません。
例えば、いま本村が進める「森林資源を活用したエネルギーの地産地活」の仕組みも、かつて山村経済を支えた木炭というエネルギー利用を、現代の技術が生んだ木質ペレットに置き換えただけのものであって、先人の営みの再現にほかなりません。SDGsの目標にあてこむならば、先人の知恵は陸の豊かさを守るとともに、経済を支え、気候変動を抑制していたのです。
このような視点で、さまざまな要素を掘り起こし、磨き上げ、サスティな村として復活することは、村の価値を高め、ひいてはシビックプライドの醸成につながっていきます。これこそが地域の持続の根幹と言えるのではないでしょうか。
そのような中、本村としても重点を置く観光事業においても、多くの共感から成り立つ「サスティな観光」にシフトすることが必要です。
サスティな村の魅力をどう表現し観光事業につなげるのか。生まれたキャッチフレーズは「うえのテロワール」です。癒やされ夢中になれるひと時、それを生む空間の魅力とは、言うなればその場所のテロワールです。培われた風土と積み重ねられてきた時間、育まれ息づく人の営みにほかなりません。
すでに環境保全や伝統文化伝承のための体験ツアー、ヘルスツーリズムなどを実行していますが、山村の時空は、サステナブルツーリズムのフィールドとして最適であり、サスティな観光の可能性にあふれています。
サスティな村とサスティな観光の構想を膨らまし、村の魅力の最大化に努めていきたいと考えます。