世界から評価される「持続可能な観光地」を目指して
コロナ禍を経て、観光を取り巻く状況が大きく変化し、「Sustainability(持続可能性)」という価値観への共感が高まる中、世界の旅行者から選ばれる観光地となるためには、持続可能な観光地づくりを進めていく必要があると思います。これまでも和歌山は、世界的旅行ガイドブック「ロンリープラネット」の「Best in Travel 2021」の読者投票サステナビリティ部門において世界で唯一選出されたことに続き、「じゃらん宿泊旅行調査2022」都道府県魅力度ランキングの総合満足度において日本一に輝くなど、その観光地としての魅力は、国内外から高く評価されてきました。
このため、私は、和歌山が世界から「持続可能な観光地」として引き続き評価されるよう、(1)世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の保全活動と、(2)次世代を担う人材育成の取り組みをさらに進めていきたいと考えております。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、紀伊半島の形成過程において生みだされた雄大な自然(森、滝、岩など)に対する畏敬の念が、自然そのものに神が宿るという自然崇拝となり、平安時代から続く熊野参詣や修験道、高野山の創建など日本の精神文化の源流となり、千年のときを超えて受け継がれてきたものです。平成16年の世界遺産登録以来、国内外から多くの観光客が訪れるようになりましたが、一方で、この貴重な世界遺産を次世代に良好な状態で引き継いでいく必要があります。このため、県では、一般の方が世界遺産の保全に参加できる国内で唯一ともいえる「道普請」というボランティア活動プログラムを提供しており、これまで企業・団体の研修やCSR活動として多くの皆さんにご参加いただいております。今後、2025年の大阪・関西万博をはじめ、関西圏で多くの国際イベントの開催が見込まれる中、プレ・ポストコンベンションプログラムとして、国内のみならず全世界から世界遺産の保全活動に参加いただけるよう取り組みたいと思います。
また、令和5年4月に、和歌山大学に全国初となる観光学に特化した専門職大学院(観光地域マネジメント専攻)が開設されます。専攻課程では、持続可能な観光地づくりを先導する「観光地域共創人材」の養成を目指し、経験豊かな実務家教員の指導のもと、地域のDMO等と連携した実地プロジェクトの実践を中心とした教育が行われます。県としても、和歌山大学と連携し、次の世代を担う志の高い皆さんと和歌山を一緒に盛り上げていきたいと思います。