「国際文化都市東京」を実現
新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行され、コロナ禍で最も深刻な打撃を受けたツーリズム産業にも、ようやく明るい展望が開けつつあります。
東京商工会議所では昨年11月に、「観光委員会」を「トラベル&ツーリズム委員会」に改称しました。これからのツーリズム産業の再生に向け、トラベル(旅行)&ツーリズム(移動・交流)という世界に通用する名称でのリスタートです。
この3月に新たな観光立国推進基本計画が閣議決定され、改めて日本のツーリズム(観光)がわが国経済の成長戦略の柱、地域活性の切り札であり、国際相互理解と国際平和の実現にも重要な役割を果たすことが確認されました。その実現のためにも、近い将来に自動車輸出を抜いてトップの外貨獲得になる可能性を秘めたツーリズムを「産業」としてしっかりと位置づけ、基幹産業化していかなければなりません。国際交流の本格回復が見込まれる2025年「大阪・関西万博」までの2年間が、極めて重要な局面であると捉えています。
基幹産業化に向けて、当委員会では国や東京都に対して、その意味合いを十分に理解いただき、しっかりと対応いただくために、政策提言活動を展開するとともに、「国際文化都市東京」を軸とした都市型観光の魅力発信事業に注力していきます。政策提言活動においては、実態調査や懇談会の開催等を通じ、地域事業者の生の声を聞く「現場主義」を重視しています。適切な施策を効果的に展開するためには、産業の基盤である地域の企業の実態を踏まえることが不可欠です。
魅力発信事業においては、地域資源の発掘・ブランド化・情報発信を通じて、地元に対する愛着や誇り、いわゆる「シビック・プライド(郷土愛)」の醸成に取り組んでいます。ツーリズムの持続的な発展に向けて、最大の課題は人材の育成と捉えて、私自身も学生を対象とした授業を行い、若い世代からシビック・プライドを育めるよう活動しているところです。
また、東京23区のイベント・お祭り情報や魅力的な商品を提供する事業者などを、四半期ごとに「東京三昧カレンダー」にまとめ発信しています。こうした取り組みを23区の観光協会等と連携して展開することにより、東京在住・在勤者でもまだ知らないような各地域の魅力や強みの再発見につなげる狙いがあります。
東京の歴史・文化・芸術等を再発見・再認識することにより、さらに東京のブランド力を高め、世界に冠たる「国際文化都市東京」の実現を目指してまいります。