
日本旅行総務人事部 女性活躍推進・働き方改革推進担当部長 三好幸代氏
「真の働き方改革」による人財活躍、観光業の活性化を
深刻な社会課題である労働人口の減少は、観光業界にとっても大きな課題です。コロナ禍は社会に大きな変化をもたらしました。市場環境および顧客の価値観の変化、デジタル化の加速化とともに、さまざまな常識が変わり、当社も例外ではなく新しい価値創造を目指して手探りの中トライ&エラーを繰り返しました。全国拠点ネットワーク・社内外との連携に基づく総合力を強みに、人財・DXを駆使して地域とのつながりを軸に新たな事業基盤を構築してきました。
一方、「働き方」についても大きな変化がありました。勤務も出社からモバイルワークに、会議もリアルからリモートに。旅行業の営みである”移動”の制限は大打撃となり、業界への将来不安を理由に会社を後にした人も少なくありません。人財流出は当社にとっても業界にとっても大きな痛手となり、改めて「働きがいを持って持続的に活躍できる組織・人財づくり」の重要性が浮き彫りとなりました。その取り組みは経営戦略そのもの、まさにサステナビリティへの取り組みの主軸であると言っても過言ではありません。
当社は、2023年12月に業界初で唯一の女性活躍推進を評価・認定する称号「プラチナえるぼし」を獲得しました。5年後には40代以下の女性比率は7割に迫ります。観光業界におけるキャリアデザインや両立サポートの取り組みは急務であり、この称号に恥じないよう推進スピードを上げていく必要があります。
ミッションは「働きやすさ」ではなく「働きがい」の向上。持続的で生産的に働くことで成果を生む強い組織づくりのために、昨年は社内で全国横断プロジェクトを立ち上げ部署や個人ごとの課題を可視化、議論を深め、経営陣へ課題解決の提言を行うなどの取り組みを行いました。今年は抽出した課題をそれぞれの具現化に向けて動き出す年度ですが、忘れてはいけないのは業務との関係性です。当社にもさまざまな部門・職種・勤務形態が存在し、働き方は多岐にわたります。ワークとライフの相乗効果を発揮するために、今までの常識にとらわれない業務プロセスの見直しと誰もが諦めず働ける選択肢の両方を追求する「真の働き方改革」が重要です。人が生き生きと働いてこそ、観光業界の活性化につながると確信しています。
日本旅行は今年創業120年を迎えます。創業からの思いを受け継ぎながら、世界や地域のパートナーと共創し、持続可能な社会の実現と新しい未来をデザインするためにも、それを担う私たち観光業界の「働き方改革」の歩みは進め続けなければなりません。
日本旅行総務人事部 女性活躍推進・働き方改革推進担当部長 三好幸代氏