地域(観光地)ブランドの形成や維持に必要なものは
今年度の観光庁補助事業「地域一体となった観光地の再生・観光サービスの高付加価値化事業」に、当観光地域づくり法人が申請主体となった「由布院温泉」の地域(観光)計画が採択されました。本事業は、ポストコロナへ向け、その計画に沿った宿泊・観光施設等の改修を支援し、地域の面的な再生・高付加価値化を図ろうとするもので、当地域では想定を超える事業者の方が事業参画し、地域と共に取り組み始めました。最近、観光の現場において「ブランド戦略」や「ブランディング」という言葉を耳にするようになったように、この難局を乗り越えていくには、改めて「地域」の「ブランド力」を磨き上げていかなければならないと感じています。
とはいえ、「地域一体となった」という事は“言うはやすく行うは難し”で、多様な関係者、最近では「フリーライダー」とやゆされるような存在とどう向き合っていくのかや、「企業ブランド」と「地域ブランド」の似て非なる考え方をどう整理し地域で展開していくのか等々、課題はたくさんあります。
そこで改めてわが町のブランド「由布院」はどのようにして作られてきたのかを振り返ってみると、(私見では)二つの点が重要だったのではと思っています。一つは地域や観光へどう向き合っていくかという理念を条例や計画等で明確に定め、示したこと。その代表的なものである「潤いのある町づくり条例」で、「自然環境、景観、生活環境は町のかけがえのない資産であり、その資産を守ってきた歴史をふまえ、環境に係るあらゆる行為は環境の保全および改善に貢献すること」と定めたことで、由布院ならではの環境が守られたことがブランド形成に寄与したと思います。もう一つは、地域内外の多様な関係者との交流。地域の先人いわく「地域ブレンド」です。よく言われる、よそ者、ばか者、若者が地域を変えるということと同様かと思いますが、地域内外とのやりとりの中で醸成されたからこそ生まれた独特な地域の価値がブランドになるのかなと思います。
では、今後どうしていくのか。(これまた私見ですが)地域内における理念の共有を図っていく環境づくりを改めて整備していくことはもちろん、地域の理念を発信し、理念やそれに伴う活動に共感していただける地域内外からの協力、支援の力を取り入れたオリジナル「ブレンド」を創ることによって、しっかりと根を肥やし、さらに美しい「地域ブランド」という花を咲かせ続けることができるといいなと思うこの頃です。
生野事務局長