観光産業を町の基幹産業へ
北海道南西部に位置する福島町は、第41代横綱千代の山と第58代横綱千代の富士の出身地であり、全国で唯一2人の横綱が誕生し、キャッチフレーズが「横綱の里」。基幹産業は、津軽海峡に面しているという自然的・資源的条件を生かし、イカ漁や昆布養殖とともに、これらの海産物を利用した水産業を基盤としておりますが、以前は最も多かった第2次産業の水産加工業者がイカなどの不漁が原因で廃業や就業者数の減少が進み、現在は第3次産業の商業・サービス業の就業者が多い現状です。
また、青函トンネルの北海道側の基地であったこともあり、調査、着工後から発展し、人口も一時的に増加しましたが、福島町と吉岡村が合併した昭和30年1万3428人をピークに、その後は減少に転じ令和6年1月末時点では3451人となっております。
これまでの当町は、横綱千代の山・千代の富士記念館と青函トンネル記念館という大きな観光施設がありながら、北海道で唯一の城下町で桜の一大名所でもある隣町の松前町へ向かう観光客の通過の町でありました。企業や人口が減少し、雇用喪失が拡大する状況の中、町民が安心して暮らすには、地域をけん引する基幹産業へ観光産業を発展させることが必要不可欠です。
行政が中心となり方向性を示すことが重要でありますが、多様なニーズに応えサービスを展開するには当協会の存在はカギとなります。
近年は「岩部クルーズ」という、通称「青の洞窟」や奇岩・絶景を小型船で巡る町の事業が立ち上がり、人気を博していることから、当町を目的に観光する方々が増加しております。当協会も新たな観光コンテンツが誕生したことを機に広報活動を強化し、プロモーションの展開や商談会などに数多く参加しております。この広報活動は行政から補助をいただき運営している当協会の立場としては、広報活動の強化には、補助額の増加が必要だったため、当初は理解を得ることが大変でしたが、確実にマッチしそうなターゲット層やアクセスしやすい地域に絞って実施したことで、経費以上の消費額を生み出せるようになり、一定の理解を示していただけるようになりました。
これからはさらに国内外からの交流人口を拡大し、宿泊・交通・小売・飲食事業者にも国内消費を含む外貨獲得を図り、雇用の増加と稼ぐ人財を育てる意識付けが観光消費拡大となり、地域経済の回復と活性化につながることを期待したい。