【VOICE】地域DMOの挑戦と課題 プラネットヨネザワCEO 宮嶌浩聡氏


プラネットヨネザワCEO 宮嶌浩聡氏

観光復活の波に乗るためにやり続ける覚悟を

 私がDMO構想を地域に提案したのが2020年10月。そこからすごいスピードでプロジェクトが進み、22年5月、コロナ禍に正式に地域が合意しDMOを立ち上げ、23年に候補DMOとなりました。

 さまざまな先進地域に学び、地域内外の多くの方とつながり、2年間で31事業、補助金事業なども含めれば9億円超の事業を観光産業周辺で創出し、ある程度の手ごたえの中で事業ができました。一方で、いま最も感じているのは「焦り」です。もう少し具体的に言えば、自分の地域が、観光復活の波に取り残されているという焦りです。

 弊社のエリアである山形県米沢市は、素晴らしい歴史や文化があり、自然資源にも恵まれている地域の一つであり、多くの方に素晴らしい旅を提供してきたと自負しています。一方で、個人の価値観や産業としての仕組みが変化する中で、じわじわと観光入込数が減り、事業者が減り、産業全体として下がってきたのも事実です。

 そんな中で立ち上げたDMO。コロナ禍では、地域に「いましっかりと準備をすればきっと上向きになる」という祈りに近い希望があり、そして経済が動かない状況の中でも未来に対する意思がありました。いま、コロナ禍が過ぎ、全国で観光再始動のニュースが流れ、日本全体が盛り上がっているような雰囲気がありますが、現実は思い通りではなかったかなと思います。そして、同じ思いをしている地域は実は多いのではないだろうかと思っています。

 この2年間で観光DXを推進。地域の状況を可視化し、さまざまなことが明確な事実として認識できており、打つ手もある程度見えています。しかし、だからこそ現実の壁の高さを感じるということもあります。

 この地域にとっての最大の課題の一つは、宿泊施設が現状の観光客のニーズに合っていないこと。昔ながらの温泉旅館や秘湯で地域の独自性を彩っている一方で、時代に合わせた変化を取れてこなかった。

 高付加価値化補助金を活用し、7億近い投資が地域全体に入り、何とか復活への道を模索しています。ただ、やはり周りの地域と比較してまだまだ足りていない、間に合っていない。それは、時間であり、投資金額であり、努力であり、工夫という点です。

 考えてみれば、当たり前の話だと思います。いま復活を遂げている地域は、コロナ禍前から積み上げてきたものがある地域です。だからこそ、正しい努力を、スピード感をもってやらなければいけないし、やり続けなければいけない。その覚悟がいま地域に求められていると感じています。


プラネットヨネザワCEO 宮嶌浩聡氏

 
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