【VOICE】地方振興は「スモールマス」で据える 一般財団法人関西観光本部 代表理事/専務理事 東井 芳隆氏


一般財団法人関西観光本部 代表理事/専務理事 東井 芳隆氏

次のステージの入り口にあるインバウンド

 海外からの旅行者が戻ってきました。観光客が集中する特定の観光地は別として、コロナ前と比べ、普段、街中で海外の方々の姿を見ても、特に気に留めることもない日常の光景になってきたように感じます。

 2019年までのインバウンド激増期を思い返せば、表層を見れば特需ともいえる活況を呈していました。足もとでは、大量の団体客をお迎えし、各地域が海外向けのPRを競う一方、有名観光地では地域との摩擦が顕在化し、受け入れ体制のぜい弱さが指摘されるなど、大わらわでした。今日、ボリュームは8割回復しましたが、目を凝らせば、世界各国から、個人旅行でお越しになる方々も増えたと感じています。受け入れ側も、経験を通じて心構えに変化があったのではないでしょうか。その意味で、インバウンドは新しい成長期に入ったと思います。

 観光庁は地方地域へのインバウンドの誘客を政策目標に掲げました。新しい成長期において重要なポイントです。地方地域には「唯一の本物」が遍在しています。その魅力は、「マス」には響かなくとも「スモールマス」に対しては響く可能性があります。大都市に宿泊して地方地域を楽しむ、いずれ地方地域が新しい滞在拠点となっていくと想像することは自然ですが、特定のコンテンツで短期間に滞在拠点となった観光地があることを思うと、地方地域の観光コンテンツが特定のボリューム層に「共感」されれば、その力は想像以上だと思います。地方地域の観光振興の考え方の中心に「スモールマス」を据える価値があると思います。

 さらにポイントを挙げるとすれば「海外からの旅行者を特別なものとして考えない」ことだと思います。もちろんケアが必要な事柄はありますが、海外からの旅行者も日本人旅行者も「お客さまはお客さま」。同じKindnessで接していくということです。生活文化など日本人には身近なものへの興味などは別として、各種の調査を見ても海外からの旅行者が観光地に求めるものは日本人のそれと大きくは変わらないと感じています。

 新しい成長期を迎え、関西では2025年の大阪・関西万博が控えており、14府県市および交通・関係企業等より設立された協議会で、ONE関西として関西一円への誘客促進策に取り組んでいます。その成果をレガシーとして、そして観光立国の一翼を担うエリアとして、関西観光はインバウンドの次のステージに入っていかなければならないと考えています。

 
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