
片品村観光協会 専務理事 倉田 剛 氏
「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」
尾瀬国立公園は日本最大の高層湿原であり、尾瀬ヶ原の湿原景観を中心に、長い年月によって育まれた多様な植物を持ち、日本の自然保護運動が始まった象徴的な地域です。雄大で豊かな自然が残る尾瀬国立公園は、見る人を魅了し、美しさや心地よさ、癒やしを与えてくれるなど、「人々」にとって価値あるものです。
そんな価値ある尾瀬ですが入山者数は、1996年の65万人を最盛期に、近年は30万人以下が続くなか、新型コロナウイルスの影響により、さらに入山者数の微減傾向が続いています。
私どもは来場者を最盛期まで取り戻そうとは考えていません。来場者最盛期に起きた、繁忙期の弾丸ツアーや木道上にて発生する歩行渋滞などで本来の尾瀬を楽しむこととはかけ離れた状態で、当時の尾瀬を訪れた人の再訪は少ないと感じます。本来の尾瀬を楽しんでいただき、後世に残すためには単に来訪者を増加させるのではなく、訪れた人の個別満足度をあげ、旅行消費額をあげることが急務と考えます。
新型コロナウイルスにより団体旅行や、個人旅行が変化している中をチャンスと捉え、尾瀬の新しい楽しみ方を模索し、提案していかなければならないと考えています。
まず、アフター尾瀬の取り組みとして考えるのは、尾瀬国立公園の玄関口である片品村内を尾瀬エリアと捉え、尾瀬から下山したお客さまにそのまま帰路へつくのではなく、一歩足をとめ、片品村に1日も多く滞在していただき、片品村の良さを知っていただくとともに、片品村の魅力向上のインフラ整備にも力を注いでいきたいと思っています。
さらに目指すものとしては、インバウンド需要を見据えた環境整備を実施し、宿泊施設においても長期滞在型の宿泊スタイルの構築および、施設整備を実施していきたいと考えています。また村内においても、さらなるにぎわいを創出できる娯楽施設や飲食店を新設するとともに村内回遊バスを運行し、村内施設の売り上げ向上へ結び付けられることで、片品村全体の相乗効果を狙うことを目的とします。
小さな村ではありますが、片品村へ足を運んでくださったお客さま目線に立ち、片品村ならではの地域資源を活用し、村全体ににぎわいを創出するとともに、片品村をもっと住みやすく魅力的な価値ある地域にするため、片品村のスローガンである「小さくても輝く片品村」を目指し、「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」の3本柱で地域住民の満足と来訪者の満足の最大化と両立を図っていけたらと思っています。