将来に向け進むべき道の精査を
今回の新型コロナウイルスのまん延は健康や経済に深刻なダメージを与えたことに加え、世界中に新しいライフスタイルや価値観を生み、既存の商品やサービスに対する需要を大きく変化させた。需要の大きさが変化したものの中には、ウイルスの終息後に元に戻る可能性が高いものと、そうでないものがある。元に戻らない可能性が高いものの分かりやすい例としては、出張のための移動手段やオフィスのスペースなどが考えられる。移動が世界中で極端に制限された結果、WEB会議やテレワークなどのオンライン化が加速したからだ。また、ネットショッピングも急増し、旅行業界でも、宿泊や交通機関などの素材型商品のネットへのシフトがより鮮明になった。
今後を考えると、それらに加え、ICTやIOT、AIなどの技術革新の進展により、ビジネスを取り巻く環境が早いスピードで変化することが予測される。
そのような状況の中、今やらなければならないことは二つだ。
一つは将来どのような変化が起こるのかについて情報を収集し予測すること。もう一つは自社の力を客観的に評価し、将来どのような商品やサービスを提供すれば、お客さまに選ばれ生き残っていける可能性が高いかを精査することだ。今まで注力してきた分野の中から、ほぼそのままでも伸長が期待できるもの、形を変えることで伸長の可能性が高いものを選ぶとともに、縮小、撤退するものについても決断しなければならない。場合によっては新たなチャレンジやアライアンスが必要かもしない。いずれにせよ早急なアクションが必須だ。
そして、当社も今まさにそのタイミングにある。T―LIFEホールディングスの主な事業会社の創業は古く、最も早いのが湯旅で1947年、次いで東日観光が1950年、タビックスジャパンが1963年、トラベルインが1993年と4社のうち3社が創業から既に50年以上たっている。2018年4月にグループ全体の仕入や一般管理に関する部門を集約しT―LIFEホールディングスを設立した。目的は大きな意味での社内インフラ(働く環境)の整備で、その中にはシステムのみならず人事制度や社員教育、仕入機能なども含まれたが、一定の成果はあったと思う。
そして来年1月に新たな再編を予定している。その最大の目的は、持続的な成長のための営業と販売の強化だ。各社が培ってきた得意分野のスキルやノウハウをグループ全体で共有、強化するとともに、お客さまや社会の新たなニーズにマッチする商品やサービスの開発、提供に取り組んでいく。
石川氏