長年培った「季節感」大切に
3月に入り暖かい日が続いたこともあり、(この原稿を書いている今日は3月20日ですが)東京では平年より4日早い桜の開花が宣言されました。また、今年1月から続いた「まん延防止等重点措置」も3月21日をもって全ての都道府県で終了することが発表されています。コロナ前であれば、桜前線とともにいわゆる「春の行楽シーズン」到来といったところだろうと思います。
早いもので、コロナ禍で迎える3度目の春です。何となく「早いもので」と言ってしまいがちですが、この2年間が早かったのか遅かったのかよく分からないというのが正直なところです。
それはなぜだろうと改めて考えると、あくまでも個人的な感覚ですが、コロナ以降は季節感を全くと言っていいほど感じなく、あるいは感じにくくなってしまったと思っています。
私たちはこれまで何十年もの間「シーズナリティ」を意識しながら事業を運営してきました。春・秋のベストシーズン、夏の北海道や沖縄、ゴールデンウイークや夏休み、年末年始の海外など、言葉を並べればきりがありませんが、そこには間違いなく1年を通しての「季節感」が存在していたと思います。
コロナ禍により世の中の価値観、人々の価値観は大きく変わり、旅行会社の多くは事業構造の転換(正確に言えば、コロナ前からその傾向はあったと思いますが)を余儀なくされました。国内・海外・訪日という旅行領域から地方創生や地域共創といった非旅行領域に一層シフトしています。これはそれぞれの企業の課題への対応という側面もあれば「新たな機会の創出」にもつながっています。
弊社も変化する社会環境や市場動向、時代や価値観に応えるため、「農協観光」という性格上、日本の食や農業、地域に近いところで事業を行ってきた経験を最大限生かすため、「農業の価値を高める」「農業の魅力を伝える」ことに貢献する企業、「農業の魅力・地域の魅力・食の魅力」を発信し地域の活性化に貢献する企業への転換と事業構造の改革を進めています。
今後、運営する事業のカタチはますます多様化し、課題対応、機会創出を一層求められることになると思いますが、事業のカタチは変わっても、四季折々の自然や景観・風土、旬の食、文化など事業を通じてお届けしていきたいと思っています。
そして、長年にわたって培ってきたシーズナリティ感を大切にし、「季節感」を感じられる1年にしたいと思います。
香川部長