「できる」重視した人材育成に尽力
テクノアカデミー会津観光プロデュース学科は、喜多方市にある福島県立の職業能力開発短期大学校です。本学科は単に学問として観光を学ぶのではなく、観光の現場で求められる能力を身につけるための教育訓練を行っています。
こうした「現場で求められる能力」は時代によって変わります。コロナ禍が過ぎ、世界中の人々が再び旅行に出かけるようになった現在、わたしたちは多様な背景を持つ人々に対応すべく、英語の運用を含めたコミュニケーション力、変化に富む環境において自ら考え判断する力が必要であると考えています。そして、そのような能力を身につけた人材が、将来、県内各地において、観光によって地域を盛り立て、マネジメントしていけるよう、実習を基本としたカリキュラムを組んでいます。
本学科の実習は、語学や接遇の基礎といった教室で行うものから、地域と連携した活動、そして、県外を含めた施設外に出かけるものまで幅広くあります。
本校では、令和5年に喜多方市と包括連携協定を結び、その一環として「会津きたかた観光力向上プロジェクト」を実施しています。これは本学科の学生が喜多方市の観光振興に関する提案を行う活動です。
今年度は喜多方市にあります重要伝統的建造物群保存地区である小田付地区の観光まちづくりをテーマに、お土産物の提案と古いまちなみを楽しむ企画を提案すべく、現在、学生がアイディアを練っています。学生は、座学で学んだ内容はもちろん、施設外研修で目にしたものや体験したことなどをヒントに提案を考えています。
特に今年は、施設外研修の一つとして福島県観光物産交流協会の協力を得て東京でツーリズムEXPOに参加することができたことが、学生にとって貴重な経験になりました。
この研修により、他の都道府県や国が何を観光資源と考えているのか体感できた上に、各自治体や組織がどのようなPR活動を行っているかについてマーケティングの視点から考察し、福島県や喜多方市の観光にどのように生かしていけばいいのか考える契機となりました。この経験が、現在、会津きたかた観光力向上プロジェクトの提案を考える上で非常に役立っています。
本学科は、今後もこのような研修や実習を通して「知っている」より「できる」ことを重視した教育訓練を実施することで、福島県の観光産業を担う人材を育成できるよう、尽力してまいります。
福島県立テクノアカデミー会津 観光プロデュース学科長 長尾真嗣氏