【VOICE】神戸の訪日誘客の課題と方向性 神戸観光局専務理事 中西理香子氏


神戸観光局専務理事 中西理香子氏

「らしさ」大切に再訪目指す

 神戸は何度も訪問してくださる国内観光客が多く、観光戦略としては、国内・海外からバランスよく誘客を図ることと、滞在型、リピーター化を意識した取り組みを進めることを重視しています。海、山が近く、自然が豊かで穏やかな気候の中ゆったり過ごせるまちであること、交通アクセスに恵まれていて移動が便利であること、食材が豊かで食のレベルが高いことなど、滞在することで実感していただける魅力がたくさんありますが、神戸に来訪経験がない方には魅力が伝わりにくい点が悩みです。

 宿泊・滞在につなげるため、MICEの誘致に力を入れ、JAZZ、夜景、食など夜型資源を使ったプロモーションを展開していますが、いまだインバウンドは「大阪宿泊、神戸日帰り」が多く、今後宿泊を増やすことが課題です。

 一方、神戸空港では、来年から国際チャーター便、2030年ごろから国際定期便の就航が予定されています。先日、大韓航空が、チャーター便を毎日2往復就航する計画を提示されました。今後、同様のお話が続いてあることを期待しておりますが、観光局としては、神戸に泊まり瀬戸内や他の地域に周遊していただくルートの開発が重要と考えています。そのため、他都市と連携を深め、一緒にプロモーションを行うなどしています。

 また、「神戸インバウンド戦略2.0」を策定し、欧米豪、東アジア、東南アジアに対し、「神戸ビーフ、灘の酒、有馬温泉」だけでなく、各ターゲットの顧客層に刺さるテーマをそれぞれ意識してプロモーションを展開しています。

 たとえば東アジアに対しては六甲山でのトレッキングやマラソン、サイクリング、神戸から車で1時間圏内に100カ所以上ゴルフ場がある点を、東南アジアに対しては日本最古のモスクやハラル料理がありムスリムフレンドリーなまちである点を前面に打ち出し、プロモーションしています。

 さらに、民間事業者の皆さんと一緒に観光コンテンツを造成し、それを紹介・販売するプラットフォーム「神戸のとびら」を立ち上げたり、会員交流会「Link CAFE」を開催したりすることで事業者同士の交流・連携の機会を創るような取り組みを行っています。

 「どこにでもあるもの」ではなく、神戸らしさ、神戸の文化・歴史に根づいたものを大切に観光資源化し、それに魅力を感じていただけるお客さまと長くお付き合いすること、リピーターの方に毎回新たな魅力をご提供できることに注力し「何度でも訪れたいまち・神戸」を目指しております。

 
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