【VOICE】終了後を意識した取り組みを 観光プロデューサー 西川 哲司氏


観光プロデューサー 西川 哲司氏

大河ドラマで地域活性

 「大河ドラマ」は、テレビ開始10周年を迎えた1963年(昭和38年)から放送されているNHKによる歴史ドラマの総称。日本史上実在した人物の生涯を描いた作品や群像劇が多い。

 筆者がNHK大河ドラマの“ゆかりの地”に設置される「大河ドラマ館」との関わりが始まったのは、2020年に放送された明智光秀をテーマにした「麒麟がくる」の大河ドラマ館が岐阜県可児市(明智光秀生誕の地と言われている)に設置され、その運営責任者として携わったことからである。この時は、大河ドラマ館が、可児市以外に岐阜県岐阜市と恵那市、京都府亀岡市に設置された。それ以外にも大河ドラマ展として2カ所設置された。

 以降、22年に北条義時をテーマにした「鎌倉殿の13人」の大河ドラマ館が静岡県伊豆の国市(北条義時生誕の地と言われている)、そして今年は紫式部をテーマにした「光る君へ」の大河ドラマ館「光る君へ 越前 大河ドラマ館」が福井県越前市(紫式部の父・藤原為時が国司として越前国への赴任に伴って1年余り過ごした)に設置され、運営に携わっている。そこで、なぜ「大河ドラマゆかりの地」の自治体は大河ドラマ館を誘致するのかについて考察する。

 第1は誘致により自治体を売り込む“絶好の機会”として捉えている。

 第2は自治体住民がこのことを契機に、自分たちの住む地域に“誇り”と本物の素晴らしさに気づく。

 第3は来館いただいたお客さまが飲食、土産品の購入や宿泊することにより“経済効果”をもたらすことにあると考えている。

 一方、地域住民からみると、「ドラマの主人公をよく知らない」「ドラマ館の設置にお金をかける意味が分からない」など総じてプラスイメージにつながっていないようだ。筆者が、大河ドラマ館を運営するに当たって留意していることは、(1)ドラマ館の運営スタッフは地域住民に携わっていただき閉館後に観光人材として活躍してもらう(2)住民がドラマ館の展示をみて地域との関わりを理解し「誇り」をもってもらう(3)来館された来訪者に、地域の「歴史」「自然」「文化」「食」に触れていただく―ことである。

 こういった取り組みを行うことにより、自治体と地域住民が一体となって大河ドラマを核とした「地域の活性化」を図っていくことが重要である。

 最後に、今後もNHK大河ドラマの放映に合わせて各地域で「大河ドラマ館」が設置されると思うが、ドラマ館を設置するだけでなく、終了後を意識した取り組みを期待する。

 
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