インバウンド需要に対応、持続可能な観光地域作りにまい進
訪日外国人数は2024年に入り右肩上がりで増加しており、月別ではコロナ禍前の19年を上回り過去最高を更新している。東武グループでは浅草・スカイツリーや日光、川越といった豊富な沿線観光資源を抱えているほか、鉄道・バスなどの交通、スカイツリータウン・ホテルといったレジャー施設、百貨店などの流通事業など、事業横断的なグループアセットを生かし、インバウンド拡大を成長の機会と捉え、沿線活性化や東武グループの収益力強化を図っている。
観光事業推進部の取り組みとして、インバウンド観光需要を取り込むため、台湾・中国・タイなど11市場に現地事務所や現地代理店を設置しており、東武グループ各社と連携してニーズに即した観光情報発信および現地旅行代理店・メディアとの連携を強化している。また、持続可能な観光地域づくりとして、日光たかとくキャンプステーションや墨田区の「東京下町回遊 竹あかり」、足利市・太田市の子ども体験プログラムなど、沿線自治体や地域と連携した取り組みなどを通じて地域の魅力の掘り起こしやコンテンツ開発も行っている。さらに、新たな観光サービスの創出やグループ各社の経営課題の解決に資するべく、スタートアップ企業などとの連携によるオープンイノベーションの推進を行っており、将来的には新たな収益の柱となるような新規事業を創出すべく検討していく。
本年4月、東武グループでは10年後を見据えた長期経営ビジョンとして「挑戦と協創で進化させる社会と沿線」を掲げ、24~27年を成長事業の種まきの期間と位置付けた中期経営計画を策定した。中期経営計画では、観光事業を中核事業と位置付け、最終年度の27年度にはグループインバウンド収入240億円を目標としている。
上記の実現に向けて、東武グループのインバウンド戦略である(1)新規投資の加速とインバウンドビジネスの業容拡大(2)ソフト・ハード両面での高付加価値化とアップセルの促進(3)グループシナジーの発揮とクロスセルの促進(4)リピーター率向上に向けたブランド化の推進―の四つの重点戦略をもとに取り組みを推進していく。
人口減少社会を迎え国内需要の先細りが想定される中、観光地の魅力を向上させ沿線地域ににぎわいをもたらすとともに、需要が拡大しているインバウンドの取り組みを行うことで、東武グループの収益拡大による「東武グループの持続的な成長」と、東武グループが掲げる「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を図ってまいりたい。