今こそ求められる品質管理とSDGs対応
2020年初頭以来、新型コロナウイルス感染症の影響で宿泊業界は大きなダメージを受けました。はや3カ年、2023年に入り、ようやくポストコロナ時代と称することができる環境が整いつつあります。訪日客も復活してきました。そのような環境にあって、人材不足や、さまざまな資材や原材料の高騰化も懸念されます。さらに今後「グラスゴー宣言」の実現に向けた環境への積極的な取り組みも求められています。まさに今こそ、大きなうねりを伴う新時代が幕を開けようとしているのです。徹底した品質管理向上、ブランディングに昇華させうる「ミッション、ビジョン、バリュー」、人々を魅了する食文化や伝統の保存と継承、日本が誇る豊富な自然と水や緑の生態系保存に地域との連携、そしてそれらを本気で実現する「誠実さ」が備わって初めて宿泊業界の地位のさらなる向上やさまざまな課題解決につながるはずです。
その間、弊会では、20年5月16日から宿泊施設向け感染症拡大防止対策ガイドラインとマニュアルのご提供を開始し、その後21年より宿泊施設向けSDGs認証基準の開発に着手、22年3月24日にはGSTCよりSDGs国際基準として承認を得て提供を開始いたしました。さらには、同年より宿泊施設品質向上支援システムとして、安全安心に関する簡易調査基準約300項目および安心感に関連するサービス要素のみで構成される2242項目の品質基準のシステム化(ウェブアプリ)に着手、23年8月17日より同システムの試験的運用へと至りました。本システムは、品質向上だけではなく、基準そのものが品質改善のマニュアルにもなり、従業員の皆さまの日々の利用は人材育成のトレーニングプログラムとしてもご活用いただけます。上記取り組みをもちまして、基本となる「安全」「安心」、さらにはより高度な「誠実性」の実践につながる品質管理、感染症拡大防止対策、そして自然環境保全、生物多様性の尊重、地域社会との関係改善、労働環境改善まで、宿泊施設の持続的な発展のための基準整備の全体系化がほぼ完了したこととなります。
日本の宿泊業界は、かけがえのない文化性を有し、そして潜在的に圧倒的な国際的競争力を有する唯一無二の業界であることから、弊会「サクラクオリティ」は徹底して、宿泊業界の皆さまに寄り添う姿勢を追求してきました。世界的にほぼ類を見ないDMO等との共同品質認証制度でありかつ品質向上プログラムである「サクラクオリティ」は、日本ならではの「安全・安心・誠実」の実現こそが、揺るぎなき宿泊業界に求められる「ミッション」として捉え、DMO等の皆さまや、海外さまざまな機関とも連携しつつ、日本の国際的競争力の向上、優位性の確立を支援してまいります。
観光品質認証協会 統括理事 北村剛史氏