【VOICE】観光業界支援策 神奈川県旅行業協会 会長(ミサワツーリスト代表取締役) 坂入 満氏


坂入会長

利用しやすい制度設計を

 令和2年7月22日に開始されたGo Toトラベル事業をはじめ、県民割、旅割など、観光業界に対する国の支援策については大変ありがたく思っているところです。しかしながら残念なことにGo Toトラベル事業は制度設計自体が個人客および募集型企画旅行偏重のため、旅行業界で潤ったのはOTA、大手の宿泊パッケージ、募集型の団体旅行であり、主に地域の団体旅行を取り扱う全国旅行業協会の会員および貸し切りバス業界はあまり恩恵を受けることができませんでした。県民割、旅割については事務所所在地域内の旅行に対する支援策であり、われわれ他県への旅行を取り扱う業者にとっては利用しにくい事業でありました。

 さらに言えば、Go Toトラベル事業は7月22日開始にもかかわらず説明会が7月20日と開始時期直近でありましたし、県民割も事業開始までの準備期間が短すぎて対応が難しい事業となってしまいました。

 岸田総理が打ち出した全国旅行支援事業に至っては、当初7月上旬開始予定が7月15日開始に延期になり、さらにコロナ感染急増を受けて9月1日開始予定まで延期され、延期になっているにもかかわらず事業の詳細がまだ発表となっておらず、県の観光課に問い合わせても観光庁からの指示がないとのことで、とっくに始まっていなければならない事業のはずなのに、なぜいまだに詳細が発表にならないのか不思議でなりません。傘下会員からも多数質問を受けているが答えられていない現状です。

 また、それに伴い県民割が半月、1カ月と短期の延長になり、われわれが扱う団体旅行の場合はそのほとんどが2~3カ月先の手配をするため、急な事業の開始、延長やその事業内容が不明では対応ができません。実施期間が当初予定では7月15日から8月31日までのわずか1カ月半と短すぎてこちらも利用しにくいのが実情であります。

 9月1日に開始予定?の全国旅行支援事業については上記の理由から準備期間を最低でも1カ月以上用意していただきたいのと、実施期間も少なくとも3カ月以上、できれば半年以上用意していただければありがたいと思っております。

 コロナ禍で経営が厳しい観光業界のために引き続きご支援をいただけるのは非常にありがたいことであります。せっかくの支援策ですのでその恩恵が公平に行き渡るよう、また貸し切りバス利用の団体旅行への支援などを含め利用しやすい事業となるような制度設計をお願いしたいものです。


坂入会長

 

 
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