「DC後」も一体で盛り上げ
東日本大震災の2カ月前に生まれた私の次女が、今年小学5年生となった。この大惨事の鮮明な記憶は、つい先日のことのようにありありとよみがえってくる。しかし娘の成長と重ねると、確かに10年の月日が流れたのだと改めて実感される。その娘が楽しみにしていた宿泊学習だが、コロナ禍で延期となってしまったと寂しい表情で話す姿に今は心を痛めている。国や県、復興工事関係者の多大な尽力で確実に沿岸被災地は復興しつつあるのは事実だ。しかし実際に現地を訪れてみると、残念ながら真の復興にはまだ道半ばであると感じざるを得ない。
10年という節目の年を迎えた本年、JRグループが中心となって異例の東北6県を対象とした「東北DC」を、そして他の旅行会社もこのタイミングに合わせて「東北キャンペーン」をそれぞれ実施していただいた。しかし不幸なことに、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置等の期間と重なってしまい、お迎えする立場のわれわれとしては残念でならない。また、旅行会社と地域が一体となってさまざまなコンテンツを作り上げてこられたことを考えると、関係者の悔しい気持ちは察しても余りある。われわれにとって今回のDCは、皆さまへの感謝の思いを伝えることと同時に復興の現状を視(み)ていただくこと、そしてこれからの将来を見据えた新たな挑戦のスタートラインという位置付けと捉えていた。DCは終了してしまったが、各旅行会社が秋以降も同様のキャンペーンを継続していただくこととなった。一体となって大いに盛り上げてまいりたいと思う。
また、われわれのようなレストランや団体食堂、土産売店、体験施設等をなりわいとしている観光施設、そしてバスやタクシーといった運輸業界はこのコロナのダメージをまともに受け、経営面のみならず精神的にも疲弊してしまっている。当店の駐車場にバスが1台も止まっていない状況が長期間続き、バスガイドさんやドライバーさんたちの明るい笑顔が見られないのはとても寂しい。一日も早くこの状況が改善され、以前のようなにぎやかな空気が戻ってくることを心から期待している。
さて、今年度から私は東武トップツアーズ協定運輸観光施設連盟の本部会長をお引き受けすることとなった。残念ながら就任以来、会員の皆さまにお会いする機会を作れず、大変心苦しく申し訳ないと感じている。先日久しぶりにリアルでの商談会に参加したが、実際に会って話し合うことの意義は非常に大きいと改めて実感した。「ウィズ・コロナ」を意識しながら、可能な限りお互いに顔を見ながら話ができる機会を作っていきたいと考えている。
小野寺氏