【VOICE】DMOの役割と今後 愛媛県観光物産協会 専務理事 金子浩一氏


愛媛県観光物産協会 専務理事 金子浩一氏

人口減少社会に観光で「外貨」稼ぐ

 愛媛DMOは、愛媛ならではの素材を生かした観光コンテンツを、テーマ性やストーリー性のある周遊型旅行商品として造成し、地域の販売代理店として国内外にセールスすることを主要な役割としています。

 本格的な人口減少期を迎え、地域活力の低下や国内市場の縮小が顕在化する中、「外貨」を稼ぐ観光業は、県内の宿泊業、飲食業、運輸業などの生産や雇用に波及・誘発効果を生み出しており、愛媛DMOとしても、旺盛なインバウンド需要を取り込むための商品づくりに注力しています。

 一例を挙げますと、富裕層向けの高付加価値商品として、「宇和島養殖マグロ一本釣り体験×サバキ女子によるマグロ解体LIVE」という商品を造成・販売しています。これは、愛媛県の魚類養殖生産量が日本一であること、宇和海でクロマグロの完全養殖を行っていることに着目し、高価で大型魚であるマグロを「釣る」「さばく」「食べる」体験を一挙に盛り込んだ愛媛ならではのコンテンツとなっています。

 また、その行程では、宇和海クルージング、養殖場での餌やり&一本釣り、帰港後の計量と記念撮影、ホテルでの解体LIVE、マグロづくしの特別料理と、マグロを軸としながら、宇和海の美しい景観や道後温泉でのおもてなしも堪能できる内容となっています。

 1年以上前から、国内外に向けて積極的なセールス活動を展開し、143万円という高額商品故に苦戦が続きましたが、ようやく昨年8月に最初の成約となりました。体験された方の評価は上々で、来年度は、大阪・関西万博の公式体験型商品としても売り出すこととしています。

 また、同様に力を入れているのが、観光を切り口とした交流人口の拡大であり、具体的には移住者にフォーカスし、その生業をコンテンツ化した商品づくりです。

 愛媛県内においても、「地域おこし協力隊」をはじめさまざまな経験やスキルを持った移住者が増加しています。

 彼らの職業は、農林水産業をはじめ、民泊やカフェの経営、サイクリングガイドやマリンスポーツの指導などさまざまですが、共通点として、その土地の自然や文化、人情に魅せられた「愛媛ファン」であることが挙げられます。

 移住者自身に、外から目線で愛媛の魅力を語ってもらい、ツアー参加者の共感が得られれば、新たな「愛媛ファン」が生まれ、リピーターとなってもらえるのではという思いを込めた取り組みです。

 まだまだ取り組みは緒に就いたばかりですが、人口減少社会における観光の役割を常に意識しながら、今後ともチャレンジを続けてまいります。

 
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