コロナ禍からの脱却の切り札
2年余にわたるコロナ禍だが、この6月には水際対策が幾分緩和され、国際的な往来の再開とともに観光復興への期待が高まる。それに先立ち、4月に公表された観光立国推進協議会の「観光による国際往来再開と地域経済再生に向けた決議」は、観光産業全体の声のみならず、諸外国が、いち早く日常生活を取り戻し、経済活動を復活させる現状を、政策当局者へ伝える効果が大きかった。
これに参画するわれわれ日本コンベンション協会(JCMA)も、MICEを起点とした観光、そして地域の経済再生へ向けた活動をより一層推進する。
コロナ禍においてJCMAでは、MICE業界の窮状を訴え、そのための支援策、水際対策緩和、MICE誘致における国際競争力強化等についての提言活動を行ってきた。これらを実現するためにも、業界他団体との連携を促進するとともに、改めてMICE・観光の価値を認識し、その意義や重要性を社会に広めることの必要を痛感する。
MICEの多くは、コロナ禍にあってもオンラインないしリアルを併用したハイブリッド形式での開催が継続されてきた。本格的な開国を控え、ハイブリッド開催においては、国内外の参加者ともに、よりリアルの価値が求められることとなる。いかに開催地の魅力を訴求し、誘致とともに、開催時にはオンラインではなく、現地参加を選択してもらうかは重要である。
人との出会いを生み出し、地域や産業・学術分野の振興に貢献することがMICEの存在価値であり、求められることである。同時に、観光との連携をより強くすることで、自然、気候、文化、食事のいずれも高いレベルで兼ね備えるわが国の魅力を、新たな体験価値として提供していきたい。またそれはMICE開催前後の宿泊を促すブレジャーの推進にもつながる。
これらを実現するため、JCMAは先ごろ開いた定時社員総会において、5年間の中期計画を採択した。
1.コロナ禍からのレジリエンスと、人材育成、人材確保による今後に向けた事業の基盤強化
2.MICE産業の存在、価値、貢献などの認知度を確実に広げ、社会を巻き込んでいく
3.国際的なMICE先進国としての競争力を高める
この活動方針のもと、重要と考える課題について、実施事項の整理と目標設定を行った。
コロナ禍による事業環境の激変へ対応するのみならず、MICE業界全体での連携、および観光との連携強化により、産業としてのMICEをけん引し、発信力、求心力、魅力の向上に努めたい。われわれは観光立国、そしてMICE立国を目指した活動が一刻も早く成果へとつながるよう願い、これらの取り組みを進める。