以前に付帯売り上げの向上施策の一つとして、飲料売り上げ向上について述べたが、同様に売店売り上げも苦戦しているとの相談をいただいたことがあったので、今号では売店売り上げアップ施策について考えてみたいと思う。
売店の売り上げも、飲料と同じで団体旅行隆盛時代の受動的スタイルから、個人のお客さまに買っていただく能動的スタイルに変えていかないといけない。テーマは違うが、ここ最近で触れた内容とも関係しているので、順番に見ていきたい。前号では閑散期の宿泊売り上げ対策として、アクセス数を伸ばすことの大切さについて述べたが、売店においても同じである。「売店売り上げ=(1)来店数×(2)購入数×(3)購入商品の単価」であるので、まずは(1)来店数を伸ばすことから始めてみてはどうであろうか。
アナログな方法であるが、チェックイン時や夕食後に売店へのご案内を促す方法がある。もちろん、お声掛けしただけではお客さまは動かない可能性もあるので、例えば○時~○時に来店いただければ、「粗品プレゼント」や「タイムセール割引」などを実施していれば、ご案内もしやすく、お客さまも足を向けやすい。
続いて、こちらもアナログ的ではあるが、(2)購入数を増やしていただくために、「5千円以上お買い上げのお客さまは送料無料」等を実施している施設もある。
また、少し前に述べた「流行の店に足を運ぶことが大事」という中で、宴会需要で競合化する居酒屋などへの視察を薦めたが、流行の小売店を視察することも大いにヒントになると思われる。「どういう商品が選ばれているのか」「どういう陳列をしているのか」「どういう内装にしているのか」等、生かせることは多いと思われる。
もちろん、本質的には「ここにしかない商品」が開発できて、それを目当てにお客さまがいらっしゃるまでになれば理想ではあるが、一朝一夕では難しい部分もあるので、まずはできるところから始めてみてはどうであろうか。
個人のお客さまが多くなり、お土産を買うのは旅館でもサービスエリアでも観光地でもどこでもよいという流れにはなっている。しかしながら、お土産を買うという行為は不変なので、ぜひ、うまく取り込める施策を試行錯誤いただきたい。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)