前号では、これからのホテル旅館業界についての予測について主観を交えて述べたが、今号ではITやウェブという側面から述べたい。「デザイン」「WEB広告」「省人化」「5G×IoT」というキーワードで考えてみたい。
まず「デザイン」についてだが、その重要性はますます高まっていくと考えられる。近年の傾向だが、世界的なコンサルティング会社のデザイン企業買収や経産省が「デザイン経営宣言」をするなど、デザインというものが企業戦略上、重要視されるようになってきている。なぜ、デザインが重要視されるかというと、端的にいえば、カッコいいデザインは購買行動を促し、高い商品価値を体現でき、ロイヤリティを高めることに貢献するからである。世界で最も成功を収めたデザイン志向会社としては米Apple社が有名であろう。
したがって、これから競争激化が予想される宿泊業界でも、デザインの優劣は非常に重要な要素となる。館内のデザインはもちろんのこと、ホームページや写真に至るまで、デザインのクオリティと統一性を意識することが必要となる。それは何もカッコいいデザインのみが正解というわけではなく、「その施設らしさ」がデザインで表現できているかが大事なポイントなので、誤解ないように取り組んでいただきたいと思う。
続いて「WEB広告」についてだが、こちらも以前からの傾向であるが、広告の対象が「マス」から「パーソナル」に移行しつつあり、宿泊業界にもその動きは起こりつつある。今までの不特定多数の大勢の人に同じ情報を発信するタイプのマス広告から、デジタル媒体を中心に一人一人に最適な情報を広告として配信するパーソナル広告への投資が進んでいる。パーソナル広告の代表的なものが以前に紹介した「PPC(ペイ・パー・クリック)広告」である。比較的多額の費用を要するマス広告とは違い、ターゲットを絞り小額予算で始めることができるため、今までマス広告とは無縁と考えてきた中小企業でも取り組んでいるところが増えている。
次号では、「省人化」「5G×IoT」などを中心に2019年以降の予測を考えていきたい。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)