師走を迎えて、毎年恒例であるが、今年の振り返りを行っていきたい。今年は1月1日に能登半島地震が発生し、大変な年明けとなった(能登半島の1日も早い復興をお祈りいたします)。
今年は何といっても絶好調のインバウンドが中心のトピックであろう。2024年の訪日外国人者数は3600万人を超える見通しで、過去最高となる予測である。さらに特筆すべきは海外ゲストの宿泊者数である。こちらは1億5千万人泊を超える見通しで、コロナ前の実に35%増(実数にすると4千万人泊の増加)である。
このことは日本の観光業界にさまざまな影響をもたらした。都市部を中心にインバウンド需要が過熱し、宿泊費が高騰し、宿泊事業者からすると売り上げと利益の増加という恩恵となった。一方で、出張族や日本人が高すぎて泊まれないという現象も巻き起こした。
一方で、大都市に偏在していたインバウンド需要が地域に拡散し始めており、伸び率でみると、石川県や愛媛県などが上位に名を連ねた。円安の情勢もあり、来年も引き続きインバウンド市場は活況となる見通しである。
また、もう一つのトピックはやはり人手不足であろう。いくらインバウンド需要が高くとも、受け入れる人がいなければサービス業たる観光業は成り立たず、苦しい状況が続いている。その中でスポットワークの台頭は目覚ましく、多くの地域で「助かった」という声を聞いた。今後の多様な働き方推進の中でスポットワークもまた伸長する見通しである。
人手不足はまた思わぬところにも影を落としている。それは観光業のみならず、建設業も例外ではなく、工期の遅れ、あるいは工事そのものができないという局面を目の当たりにしてきた。これに関しても、需要があると分かれども、手が打てないというジレンマになっている。
2024年の出来事と今、起きている予兆を見ながら、また次回以降で来年の予想をして、立てるべき対策をお伝えしていきたい。
(株式会社アビリブ・株式会社プライムコンセプト 内藤英賢)
(観光経済新聞12月9日号掲載コラム)